夏を乗り切る覚悟と冷却薬
夏の暑さが一層厳しくなり、昼間は外に出るだけで汗が流れ、息が詰まりそうになる。畑の作物たちも日差しに負けじと成長しているが、それと同時に僕たちの体力も徐々に奪われていく。特に、この世界で初めて迎える夏は想像以上に過酷だった。
「これから先、もっと暑くなるのかな…」と、ある日、ふとミナがぼやいた。
「うーん、まだ本番はこれからだし、覚悟を決めないとね」と僕も苦笑いしながら答える。
畑仕事をしている最中に何度も立ち止まり、汗を拭う。これまでにないくらい暑い日々が続き、昼間の作業が本当に辛く感じてきた。それでも、作物が育っているのを見ると、やりがいを感じずにはいられなかった。だが、体力的にはもう限界が近づいてきている。
そんな中、村に一人の行商人がやってきた。彼は暑さ対策の薬を持ち込んでいると言う。薬といっても、いわゆる冷却薬だ。身体を冷やすためのクリームや飲み薬など、様々なものが並んでいる。気温が高くなり、暑さで体調を崩しやすくなった村人たちにとって、この冷却薬は救世主のように思えた。
「これ、いいんじゃないか?」とミナが興味津々に言った。
「うん、確かに、これを使えば少しは楽になるかも」と僕も思った。冷却薬は肌に塗るとすぐに涼しく感じられ、気分的にも楽になる。
行商人はその薬について熱心に説明を始めた。「この冷却薬は特に暑さで体力が消耗した時に効くんです。肌に塗ると、瞬時に体温が下がり、精神的にも落ち着きますよ。ただ、飲み薬の方は長時間効くので、作業中に飲んでおけば、さらに効果的です。」
「それなら、飲み薬も試してみようか?」とミナが言った。
僕は少し迷ったが、「まあ、これだけ暑い日が続くと、試してみる価値はあるよね」と答えた。
僕たちは早速、冷却薬のセットを購入することにした。飲み薬を一日一回、クリームを作業前に塗ってから畑に出ることに決めた。これで少しは体力の消耗を防げるだろう。
その日から、僕たちは冷却薬を使いながら作業を続けた。飲み薬を飲んだ後は、確かに体が軽く感じ、作業をしている最中も以前よりも楽に思えた。クリームを塗った部分は肌に心地よい冷たさが広がり、暑さの中でも少し気持ちが落ち着くのがわかった。
「これで少し楽になったね」とミナが言いながら、汗を拭って作業を続けていた。
「うん、これならしばらくは乗り切れそうだ」と僕も気を取り直しながら頷いた。
だが、冷却薬の効果に頼りすぎることなく、僕たちは依然として体調を管理することの大切さを実感していた。水分補給をしっかりと行い、無理せず休憩を取り入れながら作業を進める。これまで以上に意識して体調を守りながら、毎日を過ごすことが重要だと感じていた。
「でも、これだけ暑いと、畑の作物たちにも負担がかかるよね。特にクールキャロットやテイルキャベツなんかはどうかな?」とミナがふと心配そうに言った。
「確かに、暑さで根が弱くなったり、葉が焦げたりするかもしれないけど、これも自然の一部だし、様子を見ながら手を入れていくしかないね」と僕は答えた。
それからも冷却薬を使いながら畑の世話を続けた。確かに効果はあったが、それだけに頼るのではなく、作物の状況をしっかりと観察し、柔軟に対応していくことが必要だと感じた。
やがて、夏の最も厳しい時期が過ぎ、少しずつ気温が落ち着いてきた。暑さのピークを乗り越え、収穫の時期が近づく中、僕たちは心から安心し、今までの努力が実を結ぶ瞬間を待ち望んでいた。
「夏を乗り切る覚悟を決めてよかったね」とミナが言い、冷却薬のおかげで何とか乗り切った日々を振り返った。
「うん、無事に乗り越えられた。それに、これから収穫が楽しみだな」と僕も笑顔で応えた。
夏の終わりが近づく頃、畑は賑やかに実り、僕たちの努力がしっかりと実を結んでいることを感じることができた。冷却薬のおかげで過酷な暑さを乗り越えたことを思い返しながら、僕たちは次なる作物の成長を心待ちにしていた。
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