新しい作物、テイルキャベツ栽培

村が平穏を取り戻し、神米による効果が安定してきた頃、僕たちは次のステップへと進もうとしていた。それは、さらに新しい作物を栽培することだった。


「次は何を栽培するんだ?」と、ミナが僕に尋ねた。


「実はね、新しい作物を見つけたんだ。名前は『テイルキャベツ』っていうんだ」と僕は説明を始めた。


「テイルキャベツ?」ミナは首をかしげる。


「うん、ちょっと不思議な名前だよね。でも、これがまた面白い作物なんだ。葉っぱが普通のキャベツに似ているんだけど、その葉の端に細い尾のような部分が伸びているんだ」と僕は続けた。


「尾…?」とミナが興味深そうに目を輝かせる。


「うん、まさにその通り。見た目もユニークで、栄養価が高いらしいんだ。特にビタミンCと食物繊維が豊富で、体にも良いんだよ。しかも、成長が早く、育てやすいっていう特徴もあるんだ」


「それはすごい!どこで見つけたの?」とミナが驚きの声を上げた。


「神殿で見つけた書物に載っていたんだ。『テイルキャベツ』っていう名前は、神々が使っていた特殊な作物として記されていたんだけど、試しに栽培してみようと思ってね」


ミナは興奮気味に言った。「なら、早速やってみよう!きっと村にとっても大きな助けになるわ!」


その日、僕たちはテイルキャベツの種を手に入れ、村の畑に植える準備を整えた。地面に穴を掘り、種を一つずつ丁寧に埋めていく。テイルキャベツは他の作物と違って、少し特別な手入れが必要だと書かれていたが、それもまた楽しみの一つだった。


「育つのが楽しみだね」とミナは手を合わせながらつぶやいた。


「うん、どんなふうに育つのか、楽しみだよね。もし成功すれば、村の食料事情はますます安定するだろうし、他の村にも広められるかもしれない」


僕たちは数週間後に再び畑を訪れ、テイルキャベツの成長を見守った。最初はちょっとした不安もあったが、すぐにその芽が顔を出し、ゆっくりと大きくなっていった。


ある日、僕たちが畑を訪れると、テイルキャベツの葉っぱの端に、まさに尾のような形が見え始めていた。まるで小さな尾がひらひらと揺れているような光景に、僕たちは驚きとともに喜びを感じた。


「すごい、本当に尾がついてる!」とミナが声を上げた。


「うん、最初は信じられなかったけど、これが本当にテイルキャベツだ。栄養価も高いし、村の人々にも役立つだろう」


僕たちはその後も、テイルキャベツの成長を見守りながら、少しずつその栽培技術を改善していった。村の他の農夫たちにもそのことを伝え、協力をお願いした。最初はみんな半信半疑だったが、実際にテイルキャベツを見てその効果を実感すると、すぐに広まっていった。


数ヶ月後、村の食事にはテイルキャベツが積極的に取り入れられるようになり、その栄養価が実感できるようになった。村人たちの元気も増し、さらに収穫が増えると、村全体が活気を取り戻していった。


「テイルキャベツ、成功したね」とミナが笑顔で言った。


「うん、これでまた一歩村が豊かになる。次は、どうやってこの作物を他の村にも広めていこうか」僕は新たな目標を心に誓った。


テイルキャベツの栽培が村に新たな希望をもたらし、僕たちの平穏な日々は続いていった。


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