14 温かな言葉

冬の寒さは相変わらず厳しかったが、村には暖かい雰囲気が漂っていた。雪景色の中、家々の窓から漏れる明かりが、外の冷たい空気を和らげているように感じられた。寒さは増すばかりだが、それでも村の人々は笑顔を絶やさず、互いに助け合いながら日常を過ごしていた。


「今日は少し暖かいですね」とミナが言いながら、外を見つめた。


「確かに、風が少しだけ弱まった気がしますね」と僕も窓の外を眺めながら答える。


「こんな日は、少し遠くまで散歩したくなりますね」とミナは楽しそうに言った。


僕たちは、雪が降り積もった村の道をゆっくりと歩き始めた。足元の雪がサクサクと音を立てる中、ミナと一緒に歩くのは、まるで時間がゆっくり流れるような感覚だった。


「冬の散歩は気持ちいいですね。普段よりも静かで、心が落ち着きます」とミナが笑顔を見せる。


「はい、雪の中の静けさが、なんだか心に優しいですね」と僕も答える。


しばらく歩くと、村の端に差し掛かり、小さな広場に出た。その広場には、少し前に村の人々が作った雪だるまが並んでいる。雪だるまたちは、どこか親しみを感じさせる表情で立っており、周りの雪景色と相まって、暖かい雰囲気を醸し出していた。


「雪だるまって、見るたびに心が温かくなりますね」とミナが言う。


「そうですね。どこか愛嬌があって、見ているだけでほっこりします」と僕は微笑んだ。


その後、広場のベンチに腰を下ろして、少しだけ休憩することにした。冷えた空気の中で、静かな時間が流れ、二人で何も言わずにその景色を眺めていた。


「こんな時間がずっと続けばいいのにと思います」とミナがぽつりとつぶやいた。


「はい、こんな穏やかな時間が続けば、何も心配することはないですね」と僕も答えた。


その言葉にミナは静かに頷き、しばらくの間、二人で雪景色を楽しんだ。冬の冷たさが心地よく感じられるのは、やはり温かいものが周りにあるからだろう。村の人々の温かさ、そして、こうして共に過ごす時間が、心に深く染み渡る。


「さて、そろそろ帰りましょうか」とミナが言った。


「はい、帰って暖かいお茶でも飲みましょう」と僕は答えた。


二人で歩きながら、再び村の家々へと戻っていった。家の中に戻ると、暖炉が赤く輝いていて、その暖かさが迎えてくれた。静かな時間が流れる中で、二人で温かいお茶を飲みながら、穏やかな夜を迎えることができた。


「今日は本当に静かな一日でしたね」とミナが言った。


「はい、こういう日がもっと増えるといいですね」と僕も笑顔を見せた。


窓の外では、雪が静かに降り続け、村全体が雪に包まれている。暖炉の前で、ミナと共に過ごすこの瞬間が、僕にとって何よりも大切な時間であることを改めて感じることができた。


その夜、村の広場に灯されたランタンの光が、遠くからでもぼんやりと見える。それは、まるで人々の温かい思いが込められた光のように感じられ、心があたたかくなった。


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