稔は足を踏み出すたびに、自分の中で何かが変わっていくのを感じた。あの日から何度も思い返したあの瞬間、何度も迷いながらも、ついにその決断を下したのだ。恐れていたタイムリミットは、もはや彼にとってただの数値に過ぎない。それよりも重要だったのは、この先に待つ新たな一歩を踏み出す勇気だった。

「前を進む勇気」

その言葉が稔の心に深く刻まれた。怖れや不安を感じながらも、彼は踏み出さなければならなかった。それが自分を変えるために必要な一歩だと感じていたからだ。どんな未来が待っているのか、予測はできない。しかし、自分で選んだ道だからこそ、最後まで責任を持って進むしかないと、彼は確信していた。

「今、この瞬間を生きるしかない」

目の前に広がる新しい道は、彼がこれまで歩んできたものとは全く異なる道だ。過去に固執せず、未来に向かって進むために、すべてをリセットしなければならなかった。そのリセットの中に、どれほどの勇気が必要だっただろう。だが、それこそが新たな自分を作り出すための鍵だと、稔は信じていた。

歩きながら、彼は何度も心の中でその言葉を繰り返した。「勇気を持って前を進む」、そして「今この瞬間を大切にする」。どんな選択が待っていようとも、もう迷うことはない。心の奥底にある確信が、彼を後押ししている。

そして、最初の一歩を踏み出したその時、稔は初めて本当の意味で自分を解放したように感じた。それまでの不安や後悔が、徐々に消えていく。まるで、重い鎖を解き放ったかのような感覚だった。

「これが、俺の選んだ道だ」

心の中で静かにその言葉を繰り返しながら、稔は歩き続けた。何が待っているのかはわからない。でも、今はただ目の前の道を進むことに集中することが大切だと感じた。その先に何があるのか、その答えは自分が進んだ先にしかない。

周囲の景色がゆっくりと変わっていくのを感じる。まだ見ぬ未来へと足を踏み入れるその瞬間が、稔にとってはこれまでのすべてを超える新しい挑戦であり、前進だった。

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