切り絵展の黒い影④


 「ちょっと、お手洗いに行きたい」


 「あ、私も!」


 と、小岩井さんと晴風が言う。今、私たちは男を巻くために駅から直結のデパートへと縦横無尽で歩き回り、とりあえず一旦巻くことができた。追ってきているのは男だから、利用者の多いこの駅の女子トイレの中は確実に安全だ。私はトイレの前のベンチで待つことにした。普段あまり動かないものだから、早足で歩きすぎてとても疲れてしまった。


 しまった。眠くなってきた。


 ダメだ。ここで寝るわけにはいかない。


 またいつ、あの男が私たちを見つけだすかわからないのだから...

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