射殺公爵⑤

どういうわけか俺はいま海の中にいる…息が詰まりそうな密室の中でもある…冷たい金属の密室だ…


メディ「マンダく~ん!僕の知識で作った潜水艦の乗り心地はどうだい?海の中を進んでるとは思わないだろ!」


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数日前 ラグド市 メディの部屋


射殺公爵を殺す為の発明品も全部作り終えてそれに沿った作戦も立てた、後はメディちゃんが秘密にしてる交通手段だけど…


マンダ「なぁメディちゃん、そろそろ準備も万全になってきたから射殺公爵の領域に行こうと思うけどメディちゃんの秘策って言ってたのはどうなったんだ?」


メディ「ふっふっふっ…僕の方も準備が出来たのさ!!旅の準備を整えて港にレッツゴーだよ!」


マンダ「んん?港?汽車で行くなら駅じゃないのか?遠回りになっちゃうぞ?」


メディ「射殺公爵は長距離からミサイル撃ってくるんだよ!汽車なんかじゃ一発でドカーンさ!線路も繋げてないから陸路なら歩きか馬で近くまで行くんだよ?生きてたどり着けないよ!」


マンダ「でも船で行っても同じ話じゃないか?」


メディ「このメディちゃんが秘策と言ったんだよ!船は船でも水上じゃない、水中を進む船だよ!」


そう言えば発明家のジイサンから聞いたことがあるな海の中を進む船があるって、ジイサン新しい船作りたいって言ってたもんなぁ…懐かしい…


マンダ「聞いたことがあるな!それ、けど長い距離航行出来なくて1時間くらいしか乗れない観光用でしかないって」


メディ「僕を侮っちゃダメさ!問題点を全部解決した潜水艦を作り上げたのさ!毎日毎日マンダ君を見つめてただけじゃ無いんだよ!」


マンダ「ずっと俺と居たのにいつの間に指示を出してたんだ?働くメディちゃんも見てみたかったな!」


メディ「むふふん!メディちゃんは有能なのさ!」


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数日後 港 潜水艦の前


マンダ「これまたでっけぇ潜水艦だな!」


メディ「色々設備詰め込んだらこんだけおっきくなっちゃったんだよ、さぁさぁ乗り込もう!」


マンダ「乗り込んでみたは良いものの…あれだな外が見えないな…狭くて薄暗くてなんだか息もしづらい気がする…」


メディ「これから1週間の潜水艦の旅になるんだよ!僕の領域では海上航行するけど射殺公爵の領域に入ったら潜水航行になるから、今ならまだハッチを開けて外の景色を見る事は出来るよ」


マンダ「1週間もこの鉄の密室で過ごすのか…」


メディ「完全な密室になるのは4日間だけどね!」


マンダ「4日間も日の光が見えないのか…ん?空気はどうするんだ?酸素が無いと苦しくなるぜ!後エンジンの排気とかどうなってるんだ?」


メディ「ふっふっふっ!ぜ~んぶ解決済みさ!この潜水艦はディーゼルエンジンで動いてるけど排気は海中に吐き出してるのさ!マンダ君、お風呂は僕の家で入っただろう?」


お風呂…あれは良いもんだった…村では水浴びだったしオデト街ではシャワーしか無かったからなぁ…お風呂良かったな…心を洗濯しているみたいだったぜ…


マンダ「メディちゃんの部屋のお風呂良かったなぁ!何で今お風呂の話なんてしたんだ?」


メディ「お風呂でオナラはしたことあるだろう?」


マンダ「うっ…うん…申し訳無いけど…ある…」


メディ「潜水艦でそれと同じことして排気してると思ってくれれば良いのさ!正直に言ったからお風呂でオナラは許そう!」


マンダ「……スミマセンデシタ………」


メディ「それで酸素の問題だけどね!僕が居るから解決なのさ!この潜水艦の大きさと乗員の数でみたら完全な潜水状態で酸素はギリギリ2日持つかどうかだけど、薬殺公爵であるこの僕が体内でオキシドールを生成して酵素と混ぜる事で酸素を生みだし続けるのさ!あと水も出るけど僕のトイレの回数が増えるくらいだから問題ないんだよ!」


マンダ「めっちゃ荒業でビックリだよ!」


メディ「僕とマンダ君が喋っているだけで潜水艦は適切な酸素濃度を保てるのさ!」


マンダ「それなら喋らなくてもメディちゃんが呼吸してるだけで良いんじゃないか?」


メディ「密室…狭い空間…薄暗い…黙って見つめ合う2人…僕をどうするつもりだい?」


マンダ「よしっ!喋ろう!1週間喋り続けよう!他愛もない話をダラダラとし続けよう!」


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6日後 射殺公爵の領域 海中


突然の爆発音で目が覚めた、潜水艦全体からミシミシと音がしてるな…大丈夫か?なにがあったんだ?


潜水艦に詳しくない俺が慌てふためいても何も出来ないな…静かにしておこう、忙しく作業している船員達の邪魔しちゃ悪いしな…


メディ「マンダ君大丈夫かい?」


マンダ「俺は大丈夫だ!メディちゃんは?」


メディ「僕も平気さ!いやぁ危ない所だったよ…夜中にディーゼルエンジンの排気管の調子が悪くてね、メンテナンスの間シュノーケルを海面に出して航行してたんだけど、そこを狙われたっぽいんだよ!人の大きさほども出していなかったはずなんだけど、射殺公爵はなんかしら特性で感知してきて、なんか爆発する物を撃ってきたんだと思うんだよ…たぶん小型ミサイル的な?」


マンダ「まだ陸地から結構離れてるよな?大海原にちょっとだけ飛び出てた所を狙われたのか!?すげぇ感知能力だな!それで潜水艦は大丈夫だったのか?」


メディ「潜水艦はシュノーケル部分が壊れたくらいで済んだよ!排気管も直した直後だったからこのまま潜水航行出来るんだよ!」


良かったぜ…このまま海の底とかじゃ無くて…


メディ「それで今回の攻撃されたことで射殺公爵の特性に少し検討が付いたんだよ!そ・れ・は……領域内の空気の揺らぎを感知出来る特性とかじゃないかな!」


マンダ「はぁ!?なんだそれ?」


メディ「射殺公爵は領域から逃げ出そうとしてる人類を見えるはずもない遠くからミサイルで殺しているのは話ししたよね?どうやってるのかずっと悩んでたけど、今まで海の中の潜水艦は攻撃してこなかったたぶん単純に気付いて無かったんだろうね、これがソナーとかで感知してるなら海中も分かるはずだし、動体感知とかみたいのならそれこそ海の中でも分かるはずさ!」


マンダ「海の中には無くて、海の上にはあるもの…つまり射殺公爵が感知するのは空気が関係してると」


メディ「そういうことさっ!諜報員からの情報で色々仮説を立ててたんだけどその内の1個に空気を操るってのを考えててたのさ!けど空気を操るなら銃使う必要無いじゃん…って思ってたけど、今回ので空気の揺れとか風を読むとかなら当てはまると思ったんだよ!」


マンダ「ふ~む…なら俺が立てた作戦がそのまま使えそうだ!生きてるのがバレるとかの特性だったら台無しになるところだったぜ」


メディ「生きてるのがバレる?もしかして死んだふりでもするつもりなのかい?」


マンダ「まぁそういうことだな…いつも殺されるギリギリの作戦だから今回は命の危険度でいえばマシな方かも知れないけど…でも心の…精神的な方がキツいかもな…」


メディ「じゃあ生きて帰って来られたらよしよししてあげようじゃないか!」


マンダ「やったぁ!死ねない理由が増えたぜ!」


特性が判明したのもヨシッ!作戦変更しなくて済んだのもヨシッ!潜水艦が沈まなくてヨシッ!よしよししてもらえるのが1番ヨシッ!!


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