絞殺公爵⑦

痛さで目覚めて痛さで失神した何度も何度も覚醒と気絶を繰り返して何日経ったかわからない…


下半身がネットに絞められて折れて千切れ飛ぶ所までは記憶がある…思い出したくない光景だ…記憶無くなる前は《細くなる者》で枝になってたけど今は元の身体で足もちゃんと生えてる、ウーパールーパーの遺伝子ありがとう!今回もちゃんと生えてるよ!辛うじてだけどな…ほっそい下半身だこと…立てるのか?これ筋肉なんてもんが無いぞ皮と骨だけ再生したんだな…


1週間くらいは経っているだろうか?さぁ絞殺公爵を確認してみようか、ネットに絞められ過ぎてグチャグチャのバラバラになるまで見てたから今回は殺し損ねた心配はないけどちゃんと確認するまでは安心出来ない


まぁ確認するまでもなく、俺の再生しきってない細くてちっちゃいお尻の下に絞殺公爵の服らしき物と肉塊と共に黒く染まって散らばっている…こんな中でも1週間気絶してたの?えぇ…風呂入りてぇ…黒くネチャネチャした肉の水溜まりの中に透明な石を見つけた


マンダ「これが絞殺公爵のコウシャクマナタイトか今回はどんな能力を貰えるんだろうな」


天の声「コウシャクマナタイトの摂取を確認、寿命を更に100年追加、超過エネルギーを身体再生エネルギーに変換、肉体の再生を開始します」


マンダ「これこれこれ!辛うじて生えてただけの下半身がどんどんムキムキしてきたぞ!お帰り下半身!」


天の声「絞殺公爵のコウシャクマナタイトの摂取を確認、公爵殺人者マンダに絞殺公爵の能力付着を確認」


《曲がりくねる者》獲得


マンダ「《曲がりくねる者》?なんだそりゃ?根性がひん曲がってきた自覚はあるが、身体が曲がるのか?ちょっとやってみるか…ふんっ!」


身体がぐにゃぐにゃだ…骨とかどうなってんだ?こんなに曲がりくねっていても立ててるな…何に使えるんだ?カカシになったりぐにゃぐにゃになったり全く普段の生活で使えないぞ!公爵ども殺しても寿命ぐらいしか旨味が無いぞ!


マンダ「天の声さんや!この《曲がりくねる者》っていつ使えば良いんだ?」


天の声「私はアナウンスする存在です、ナビゲーションをする存在ではありません」


マンダ「そうかぁ…まぁ何も貰えないよりも良いか、天の声さんいつもありがとうな!君の声が聞こえて絞殺公爵を殺した確証が得られて安心したよ」


天の声「それはなによりです」


マンダ「次も天の声さんのその可愛い声聞きたいから殺されないように頑張るよ」


天の声「セクハラです」


マンダ「せくはら?なんだそれ?まぁ早く帰って風呂入ってベッドで寝たいぜ!1週間絞殺公爵の内臓の中で寝てたけどな!ハハッ…帰ろう…」


帰りも汽車で帰る、汽車の隣になったのはあの紳士服を売ってくれたおっちゃんだった!


マンダ「ぁあ!紳士服売ってくれたおっちゃんじゃねえか!」


紳士服のおっちゃん「あ!あの時の若者じゃないですか!帰りにも会うなんて奇遇と言うかスゴい偶然ですね!どうでしたか?結婚式は?良かったですか?」


マンダ「いやぁそれが結構散々な目になったんだよ…会場に着いたらなんか臭かったし、席に着こうとしたら椅子は汚れてたし、新郎は小太りのピエロの格好だったんだぜ…どんな結婚式だよって思ったぜ…」


紳士服のおっちゃん「それはそれは…でしたね…マンダさんもネチャネチャのベトベトで少し臭いますし…」


おっちゃんに紳士服がダメになったのを謝ったり隣街がどんな所か聞いてたりおっちゃんの家族の話しに相づちを打っていたらいつの間にかオデト街に汽車が着いていた、おっちゃんと予想外に仲良くなったのでハイタッチしてお別れを言い自宅兼工房に帰った。


マンダ「はぁあああ…少ししか住んでないとはいえ自分の家ってのは落ち着くわぁ…」


これで殺人公爵は2体殺した…この大陸には鏖殺公爵がいるが大崖のせいでそこまで行ける手段が無い、だから次はこのオデト街から汽車で東へ行き絞殺公爵のいた遊園地跡を過ぎて更に東へ行きトナミ港へ、そこから海を連絡船で東へ進むと南の三角大陸へ着くそこが次の目的地だ。


そこに居るはずの3体の殺人公爵を殺しに行こうと思う、まぁおっちゃんから聞いた話なので後は南の三角大陸に着いてから考えるかな、ちなみにオデト街は鉤大陸でも南にある、それどころかこの世界でも結構南にある。


落ち着く前にお風呂だ、ネチャネチャのベトベトの身体を洗って綺麗になってからベッドにダイブしたい…突然出発したからバアサン心配してただろうけどバアサンへの報告とか荷物の片付けとか明日でいいや…とにかく休もう…綺麗にして寝よう……諸々の後始末は明日の俺にお願いしとこう………


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