瓦屋根
建設会社に勤めるポルトは日本で起きた地震の映像を見て呟いた。
「屋根の瓦がこんなに落ちて……古い日本の家は耐震性がないな」
「馬鹿言え! 日本家屋はもともと瓦が落ちやすいように設計されているんだ」
ポルトの独り言を後ろで聞いていた上司はポルトの頭を叩いて叫んだ。
ポルトの顔に疑問が浮かぶ。
「どうしてわざわざ?」
「瓦に衝撃を逃がすと同時に重りをなくして建物全体が崩れるのを防いでいるんだよ」
上司がそう説明するもポルトはまだ思案顔のまま顎に手を当てていた。
「やっぱりまだわからないですよ」
それを聞いた上司は新品の鉛筆と消しゴムを取り出し、鉛筆を立たせその上に消しゴムを置いた。
そしてポルトの方を見ると机を揺らすように指示した。
ポルトが机を少し揺らすとすぐに鉛筆は倒れた。
「今度は、鉛筆だけ立てて揺らしてみろ」
ポルトは上司の言う通り鉛筆だけ立てて少し揺らした。
しかし鉛筆はしばらくの間倒れることはなかった。
「なるほど! 上の重りがない方が倒れないんですね!」
「そういうことだ!」
「一番上がなくなれば全体は倒れない……」
納得したポルトを見て満足そうに上司は頷いた。
数日して、ポルトの勤めていた建設会社では社長の横領が発覚した。
内部告発により社長は即日解任され、社員たちは全員解雇となった。
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