天使と悪魔

悪魔と天使が言い争っていた。

「人間はもとより善行の基に生きているんだ」

「それは嘘だね、人間は全て悪から生まれている」

「いいや、そんなことはない!」

「間違っているのはお前だ!」

天使と悪魔はそれぞれが自分の意見が正しいと主張して平行線となった。

そんな状況に嫌気がさして天使はとある提案をした。

「そうだ、道行く人に話しかけて善行と悪行のどちらがしたいかその理由も聞くとしよう」

天使は善行の方が圧倒的に多いだろうと確信していたため得意げに悪魔に提案した。

すると悪魔は一瞬苦い顔を浮かべたがすぐにその提案を承諾した。

「よし、その条件飲んでやろう。誰にでも聞くがいいさ」

「ようやく負けを認める気になったな」

天使は余裕綽々といった顔で道行く人100人に先ほどの質問をした。

すると、100人中100人が善行をしたいと答えた。

「ほら見ただろ! みんな善行を積みたいんだ。その理由も天国に行けるからだとさ! この勝負は私の勝ちだな!」

そう言い切った天使に向かって悪魔はニヤリと口角を上げた。

「天国へ行きたいと思っているということは、普段の行いでは地獄に行くだろうと確信していることを自白しているだけじゃないか」

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