タクシードライバー
ショウは京都でタクシードライバーをしていた。
ショウは主に外国人をターゲットにしてタクシー会社でトップの業績を上げていた。
定位置のコンビニの前にまたもや外国人を見つけたショウは近くまで車を走らせた。
すると思惑通り外国人はショウを呼び止めた。
目の前に車を止めたショウが扉を開けると外国人が2人乗り込んだ。
「祇園四条駅まで」
外国人がカタコトの日本語で目的地を伝えた。
「……祇園四条ですね?」
ショウは目的地を注意深く聞き返した。
「はい。祇園四条駅まで」
外国人がそう答えたのを確認するとすぐに車を出した。
信号を待って少し真っ直ぐ走るとショウは左に曲がった。
外国人の一人がショウに聞いた。
「祇園四条駅はここから遠いのか?」
一瞬悩むような素振りを見せたショウは張り付けたような笑みを浮かべ言った。
「だいたい40分くらいですね」
そう答えて20分ほど車を走らせるとショウは右に曲がり、少し走らせてまたもや右に曲がった。
「それにしても京都はいい街だ。街並みも統一されていて素敵だよ」
もう一人の外国人がそう称えるとショウはまたも笑って応えた。
「ええ、まさに『碁盤の目』の美しい街ですね。道が複雑だから迷わないように私も苦労したんですよ」
「『碁盤の目』! 聞いたことがあります。街が四角で区切られているとか」
「ええ、まがりみちが多いのはドライバーにとっては難点ですよ」
「そりゃあそうだ!」
それを聞いた外国人の2人組は感心するように何度も頷いた。
満足気にショウは右にハンドルを切りまたも外国人に言った。
「そろそろ目的地ですよ」
そう言うと2分ほどしてショウは車を止めた。 「着きましたか?」
外国人が聞くと、ショウは笑顔を顔に作り元気よく応えた。
「ええ、祇園四条駅です!」
「ありがとう」
外国人がカタコトに感謝を述べて料金を払った。
お金を受け取ったショウは扉を開けて外国人を見送った。
ショウがバックミラーを覗き込む。
お気に入りのコンビニはすぐ後ろにあった。
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