第8話 パン屋

 ほぼ裸の2人を透明化させて門をくぐり、非常用に取ってあった宿に入った。

 2人をベッドに寝かせて濡れタオルで汚れとオークの体液を拭き取ってやる。


 収納からポーションを出して2人にかけてやると、引っかき傷や引きちぎられた傷は綺麗に無くなった。


 その日は2人のベッドの横で、ずっと起きるのを待つことにした。



「あなたが……助けてくれたのですか……」



 先に目覚めたのはカルメラだった。



「ここは俺の泊まっている宿だから安心するといい。」


「私……オークに……うう……」



 カルメラは襲われたことを思い出したのか顔を手で覆い、泣き始めてしまった。


「襲われたことを知っているのは、あんたたち2人と俺だけだ。他の誰にも知られてはいない。」


「私は……汚されてしまいました…、こんな私……もう……」


「死ぬつもりならその命、俺がもらう。」


「こんな私でもいいんですか……?」


「お前は綺麗じゃないか。」



 カルメラは俯き、泣いたまま寝てしまった。

 よほど疲れているんだろう。


 それから2人は次の日の朝まで目を覚まさなかった。



「ん……カ……カルメラ様!」


「グリゼルダ……」


「カルメラ様…よかった……」


「グリゼルダ、ありがとう。」



 グリゼルダはカルメラを抱きしめてきて大声で泣き出した。



「腹が減っただろう、これを食べろ。」



 宿の食堂を借りて作った卵粥を2人に渡す。



「ありがとうございます。」



 2人は涙を流しながら卵粥を食べ、少し落ち着いたように見える。



「あの……あなたのお名前はなんと言われるのですか。」



「俺はサトウだ。」


「サトウ様、今回は私達2人を助けて頂き、本当にありがとうございました。私はカルメラ、カルディアの伯爵の娘です。こっちは護衛のグリゼルダです。」


「まあ、今日は2人ゆっくりと休んだらいい。この宿はずっと借りっぱなしだからな。」


 宿を出て、孤児院に向かおうとすると、ギュッと何かにホールドされた。



「サトウ様、あの二人にだけ優しくしてずるいです。私、綺麗だなんて言われたことありませんよ……」


「アリーチェは2人よりも綺麗だし、俺のために良く頑張っているよ。」


「本当ですか?」



 アリーチェは目を閉じて何かを待っているようだったのでギュッと抱きしめてきて長いキスをした。


「えへへ。」


「アリーチェ、主を困らせるの良くない。」


「困らせてなんていませんよ!」



 声のする方を手で探り、抱きしめてきてキスをする。



「イヴァもありがとう。綺麗だよ。」


「えっ……わっ私なんか……」



 透明化が解除されて黒髪のイヴァが姿を現した。

 2人の頭を撫でて孤児院に向う。



「おかえりなさい、サトウ様。」



 ミリアムは子どもたちの洗濯物を干しているところだった。

 昨日もどこか俺の知らない男に抱かれたのだろうか。


 少し挙動不審に洗濯物を干すミリアムを後ろから抱きしめる。



「昨日は寂しかったです……」



 ミリアムをこちらに向かせてキスをした。


 ミリアムの洗濯物を手伝ってやる。

 ベッドのシーツ、子どもたちの服、子供5人もいるから洗濯は大変だ。

 電気洗濯機はこの世界にはないのでごつごつした板にこすり付けて汚れを落とさないといけない。


 買ってきた食材をキッチンに出しておき、商工組合に向かう。



「アリーチェ、商工組合に行くぞ。今日はでかいカナリンを売る。」


「いいのですか。今後の取引きのことを考えればもっと先に売ったほうが、優位に取引きできると思いますよ。」


「あぁ、そうなんだが、俺はやろうと思えばもっと高価なカナリンを取り寄せできると思うしな。あと、アリーチェを俺に付けてくれたお礼だ。」


「サトウ様……ありがとうございます。」



 目をうるうるさせて抱き着きたい葛藤にさいなまれているアリーチェを見て楽しみながら商工組合に入る。


 事前にアリーチェから連絡をしたのか、組合長が入口に待っていた。



「サトウ様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ。」


「組合長、サトウ様は以前お見せいただいたカナリンをお売りしたいと考えておいでです。」


「おおっそうですか。あれほどの品ですと領主様に献上が筋かと思いますがいかがでしょうか。献上といっても褒美として見返りは期待できると思います。」


「褒美ですか。どのようなものがいただけるのでしょうか。」


「過去には多額の硬貨、領地や爵位、勲章が一般的ですね。過去に街を襲うドラゴンを討伐した者には望むものを聞き、姫を妻にした者もいたと聞きます。」


 かわいい姫様ならアリだな。いや別に現状で美人どころは満足しているか。



「アリーチェはどう思う?」


「競売で出すよりも多額の報酬がいただけるでしょうし、サトウ様はいずれ大陸にその名を馳せることになると思いますので、領主様への献上がよろしいかと思います。」


「そうか。名を馳せるようなことはしないが…。領主様への献上で話を進めてください。ただし、領地や爵位はいりません。」



 俺はそう言うと収納から巾着袋に入れたダイヤモンドを取り出し、机においてあった布を敷き詰められた箱に入れた。



「このカナリンは当商工組合が責任を持って領主様へ献上いたします。」


「よろしくお願いします。」



 組合長に見送られて組合を出る。



「アリーチェ、褒美は何がもらえると思う?」


「そうですね。お金か望む物になると思います。」


「望む何かか。何がいいと思う?」


「国庫に眠る一般的に知られていない魔道具がいいと思います。私もどんな性能のものがあるかはわかりませんが、競売や商店などでは買えない、性能も知られていない魔道具があると聞いたことがあります。」


「それは楽しみだな。まぁまだ褒美がもらえるかもわからないからあまり深く考えないでおこう。」



 その後、北の森に4時間ほど狩りに行き、魔素を稼いだ。



「イヴァ、ドラゴンと対峙したら倒せると思うか。」


「戦ってみないとわからないけど、ただのオリハルコンでは刃がたたないかもしれない。空を飛ばれると攻撃も届かない。」


「ドラゴンを討伐できる武器に覚えはあるか?」


「私は武器のことはそんなに詳しくない。」


「サトウ様、オリハルコンを超える武器はヒヒイロカネと聞いたことがあります。ミスリル以上の武器は使用者の魔力量によってその切れ味が変わると言われていて、ミスリルよりもオリハルコン、オリハルコンよりもヒヒイロカネのほうが保有する魔力量の上限があがり、その切れ味を増すと言われています。つまり魔力がないとヒヒイロカネも宝の持ち腐れです。」


「魔力はどれだけあるかわかるのか?」


「魔力測定の魔水晶という道具がありますが、一般に出回っていません。稀に競売に出品されたりしますが私も見たことがありません。」


「競売はどこで開催されるんだ?」


「競売は商工組合が運営する競売所が一般的です。あとは会員制の競売、非合法なものを取り扱う闇競売があります。」


「毎回競売に出向くのも大変だな。」


「仲介人を頼む方法があります。手数料がかかりますが、商工組合に登録している仲介人で頼みますね。」


「あぁ頼む。欲しいのはオリハルコンを超える武器かヒヒイロカネの武器とトレントの弓よりも高性能な弓、魔力測定の水晶だな。どれくらい金がいる?」


「ヒヒイロカネの出品は私も聞いたことがありません。少し聞き込みをしてみます。魔力測定の水晶だと10万シーロ(1000万円相当)で落札されたことがあります。」


「それなら上限30万シーロで頼む。」



 アリーチェに30万シーロを渡す。



「かしこまりました。早速手配に行ってきます。」



 アリーチェは速足で組合に戻っていった。アリーチェに任せておけば大丈夫だろう。



「イヴァ、オリハルコンに魔力を流してみてくれ。」


「わかった。」



 これが魔力を流す感覚か。俺もイヴァと同じオリハルコンの片手剣を収納から出してイヴァの真似をしてみる。


「主、気を付けて。今、相当の魔力が込められている。危ない。」


「そうなのか。自分ではよくわからないな。」


「私のこの片手剣をゆっくりと斬ってみて」



 イヴァの持つ片手剣の上に乗せる感じで片手剣を重ねるとぼとっとイヴァの片手剣の先半分がが地面に落ちた。



「主の魔力量は相当多い。おそらく、そのオリハルコンの魔力貯留量の上限に達している。私もっと鍛える必要ある。主のほうが強い。」


「魔力量だけが戦力の差じゃない。イヴァの戦闘力は俺もよくわかっている。」


「主、ありがとう。私、強い主好き。」



 少し照れている気がするが、気のせいだろうか。顔を近づけていくと目を瞑ったのでそのまま唇を重ねた。


 食堂で大量に食事を買い込み、宿に戻る。



「具合はどうだ。」


「はい、少し落ち着きました。宿を使わせていただきありがとうございます。」


「ところであの森で何をしていたんだ。」


「はい、私の魔素吸収の手伝いを衛兵にやってもらっていました。あんなにオークの大群がいるとは聞いていなかったので……」


「そうか。この後どうするんだ。」


「今日、報告に屋敷に戻ろうと思います。」


「そうか。この宿はずっと取ってある。

 困ったらまた来たらいい。」



 孤児院に戻り、肉を細かく叩いてハンバーグを作った。



「サトウ様、柔らかくてとても美味しいお肉ですね。」



 やさしく微笑むミリアムを見て満足しながらハンバーグを食べる。


 食事を終えて食堂で片付けをするミリアムを眺めているとミリアムが準備を始める。



「あの……でかけてきます。」



 俯きながら出ていくミリアムを尾行する。ミリアムはパン屋に辿り着いた。



「あの……パンをいつもありがとうございます。」



 ミリアムは無言の店主に調理台に座らされてスカートの中に頭から潜りこまれた。もぞもぞとする店主はミリアムの下着を下ろしていき、ペチャペチャと音を鳴らし舐め始める。


 ミリアムは体を震わせて、懸命に声を我慢していたが、我慢できなくなり、たまに声が漏れている。


 店主は無言のまま、ミリアムのスカートをまくりあげて足の中に身をよじらせ、ミリアムの中に入って行く。


 ミリアムは顔を背けて体を上下させられている。店主は揺れるミリアムの服を脱がせ、たわわな胸を口に含ませて吸い始めた。


 俺も透明な何かに服を剥ぎ取られて、ジュボジュボと舐められた。


 ミリアムは無言の店主を後にして孤児院に向かった。


 孤児院に先回りして自分のベッドに寝ているとミリアムが俺の布団に潜り込んできた。ミリアムは濃厚に唇を合わせてきたので、絡めあわせてくる足から少しずつ尻の方へ揉んでいくと、ブピュッと下半身から漏れ出てくる音がした。



「あっ……ごめんなさい……」



 俺は構わず、溢れた汁を掻き出すように振動させるとミリアムは何度も体を痙攣させた。

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