告発原文13 捜査の危険性を検証する
2月16日のことをもう一度振り返ってみます。あの騒ぎは、結果的に見れば、ただ不審な男が玄関先でがたがたしただけということです。だが、それはたまたま状況が私にとって運良くはこんだだけであって、一歩間違えば、私は命を失っていても不思議はなかったのです。危険な場面が、あの短い時間のなかにいくつもあった。その点を検証したいと思います。
第一に、最初の110番をした際、電話が玄関の近くにあったため、男は通報されていることに気がついてすぐに逃げた。だが、通報に気がつかなかったらどうだったでしょう。
男が、チャイムを鳴らすだけでは家の中に侵入は出来ないと気がつき、代わりに勝手口とか縁側とかの戸のかぎの締め忘れでもないかと探したとしたら・・・。
私は110番通報に気をとられて、締め忘れた戸を開けて男が侵入したことに気づかない。そして逃げ遅れる。格闘になる。この場へ、T派出所員がすぐさま駆けつけてきたのなら、私は救われるかもしれない。だが、本来なら警官が3分で来れたところを、刑事が故意に15分も遅らせた。3分後なら救えた命も、15分後なら完全に死んでいるでしょう。
第二に、最初の通報できたT派出所員が早々と私の家から立ち去ってしまったあと、私は警戒してすぐ家の中に入り、ふたたび厳重に鍵を掛けた。だが、私が警戒心の薄い女だったらどうでしょう。警官が立ち去ったあと、たとえば庭先に取り込み忘れた洗濯物を取りに残っていたら?舞い戻ってきた男に、洗濯ロープで首を締められて、その場で殺された可能性は大きかった。
このとき捜査当局は、帰らせた派出所員の代わりに、刑事を張り込ませていたが、その刑事は私の家の周りを遠巻きにしていただけです。私の家は、納屋や高い塀に囲まれ、庭の中で何が起こっているかは、外部からはまったく伺うことはできないのです。
第三に、二度目の通報のあと、私は2階に避難した。出たばかりの派出所員がすぐに戻ってきてくれるから、2階に避難していれば男が侵入してきても、それまでは持ちこたえることができると判断したからです。けれども警官は、戻ってきてはくれなかった。警察が、私が殺されて死ぬまで来てくれないのだとわかっていたら、私は2階になど逃げずに、裏窓を乗り越えて家の外へ逃げていたでしょう。警察を信頼してしまったばかりに、あえて逃げ場のない二階へ行ってしまったのです。
第四に、二度目に通報されて、男が逃げて行くときです。男が門をでたそのすぐあとで、姉夫婦が駆けつけてきてくれた。もしもう少し男の出るのが遅かったら、また、姉たちの来るのがもう少し早かったら、逃げる男の前に姉夫婦が立ちふさがる形になっていました。逃げ場を失った男は、仮にポケットにナイフでも忍ばせているような輩だったら、逆上して二人をひとつきに刺していたかも知れない。
何度も言いますが、このとき捜査当局は、刑事を遠巻きに張り込ませて、別件逮捕できる機会を虎視眈々とうかがっていただけなのです。本来の、市民の生命の安全を守るための行動は、一切取っていなかったのです。
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