告発原文01 2月15日未遂事件発生

【2001年にホームページにて公開した一文】

妊婦切り裂き殺人事件は1988年3月に発生しました。そのおおよそ二年後のことです。

1990年2月15日、私の父(元公務員)は末期ガンのために、自宅近くの病院に緊急入院しました。母も付き添いのため、病室に寝泊りすることになりました。私は、当時、持病のため自宅療養中、独身で無職でした。父母が家を空けたので、私は一人で留守番をすることになりました。


その翌日の2月16日夕方6時過ぎ、わたくし宅の玄関チャイムが鳴りました。私はインターホンをとって応対に出ました。若い男の声で、「ホケンの集金に来た」といいます。保険の掛け金なら口座引き落としが普通なのにオカシイ、と私は思いました。集金と偽って戸口を開けさせ、物を売りつける手口のセールスマンかも知れない・・・、と疑いました。それで、

「私、いまうちにひとりでいます。保険のことは家族から聞いていないから解りません。申し訳ないが、家族のいるときに、改めて出直してきてもらえませんか」

そう少々バカ丁寧に告げると、男は何も返事をしませんでした。納得して帰るものと思い、私はインターホンの受話器を置きました。


ところが、そのあとで、静かにまたチャイムが鳴りだすのです。まだ用があるのかと思い、インターホンを取り「もしもし?」と聞き返しました。ところが男は何も返事をしません。なんど聞き返しても同じです。「もしもし、何のご用ですか?」。一言もしゃべりません。ただ静かに静かにチャイムを鳴らしつづけるのです。いったいどういうことなのでしょう?


それだけではありません。何か形容しようもない異様な雰囲気が、男のいる玄関先から漂ってきます。全身総毛だつ異様な殺気のようなものです。さすがにこれはオカシイと直感し、私は半ばパニック状態になりながら、近くの電話に飛びつきました。110番を回し、悲鳴に近い大声で、こう訴えかけました。

「セールスマンとおぼしい不審な男が、とにかく開けろ開けろという意味なのか、さっきからチャイムをピンポンピンポン鳴らし続けているんです!」

電話のある場所は、玄関の近くにありました。男は、私が通報しているのを聞き悟って、かき消すようにいなくなりました。

110番センターの係官は、私の住所氏名を聞きました。私が住所を「■■」と告げると、彼女は何かはっと思い当たるような様子をしました。(妊婦殺人事件は中川区供米田で発生しています。私の住む■■は、そのすぐ隣の地区です。)


通報を終えて何気なく掛け時計に目をやると、6時20分ちょうどを指していました。(私は時計確認癖があるのです。)


警官はなかなか到着しませんでした。派出所ならわたくし宅から500メートルほどの至近距離にあるのですが。遅いな変だなと思いながら、再び時計を見ると6時35分。通報から15分も過ぎています。


このときちょうど、警官がやってきました。近くのT派出所員二名でした。彼らは、私の通報した男が、妊婦殺人の犯人である可能性を念頭に起き、人命救助のために急遽駆けつけてきた様子でした。厳しい面持ちをしていました。

私が、男はいなくなったというと、警官は懐から無線機を取り出し、どこかと交信を始めました。指示を仰いでいる様子です。

交信を終えると、彼らは私に「では、われわれはこれで帰りますので」といいました。すぐに帰るようにとの指示が出たようなのです。そしてバイクの音を立ててさっさといってしまいました。

私は、おやっおかしい、と思いました。私の家は、敷地百数十坪ほどある農家です。庭には納屋が三棟あり、庭木も生い茂っています。男は庭のどこかに隠れているかもしれないのに、警官は玄関先で立ち話をしただけで、庭を調べようともしない。また男は、家の周囲の外に潜んでいるのかも知れないのに、覗いてみようともしないのです。彼らがわたくし宅にいたのはほんの三分程度のことでした。それだけであっけなく、引き上げてしまったのです。殺人犯逮捕を想定してきているのに、こんなことってあるのでしょうか?


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