第2話 統合失調症とは何か
統合失調症は、脳の働きに影響を与える複雑な精神疾患です。しかし、この病気についての理解は世間ではまだまだ浅く、偏見や誤解の原因となっています。統合失調症を理解するためには、まず症状とその実態について知ることが大切です。ここでは、統合失調症の特徴的な症状や、実際にどのような影響を生活に与えるかを解説していきます。
統合失調症の主な症状は、現実認識や思考、感情、そして行動に関わるもので、大きく分けて「陽性症状」と「陰性症状」の二つに分類されます。
1. 陽性症状
陽性症状には、妄想や幻覚が含まれます。妄想は、他者には理解し難い信念を持つことを指します。たとえば、「誰かが自分を監視している」「自分には特別な力がある」といった考えに取り憑かれることがあります。また、幻覚は実際には存在しないものを感知する症状です。最も一般的なものは「幻聴」であり、声が聞こえる、誰かに指示されるといった感覚を覚えることがあります。これらの症状は、本人には極めてリアルに感じられるため、混乱や不安を引き起こしやすいです。
2. 陰性症状
陰性症状は、社会生活や人間関係に影響を及ぼす症状です。たとえば、感情が乏しくなったり、何事にも関心がなくなったり、会話や行動が少なくなることがあります。こうした陰性症状は一見「怠けている」と見られることも多く、周囲に誤解を与えがちです。しかし、これは病気が引き起こすものであり、本人の意志や性格とは無関係です。陰性症状のために仕事や学業、日常生活が難しくなり、孤立を深めてしまうケースも少なくありません。
3. 認知機能の低下
統合失調症の一部の人には、集中力や記憶力、判断力の低下といった認知機能の問題も見られます。これは日常の簡単なタスクや会話が困難に感じられる要因となり、生活の質に影響を及ぼします。例えば、複雑な計画を立てる、手順を踏んで物事を進めるといった場面での困難が増えるため、他人に誤解されることも多くあります。
これらの症状が組み合わさることで、統合失調症の人は日常生活で大きな困難に直面します。それぞれの症状は一人ひとりで異なり、日によっても変動することがあるため、理解を得にくいことが偏見につながりやすいのです。しかし、これらの症状が本人にとって非常に負担であり、周囲の理解と支援が必要であることは間違いありません。
次回のエッセイでは、メディアが統合失調症をどう報道してきたか、その報道が偏見を生み出す要因になっていることについて考察していきます。正しい理解を広めるために、どのように統合失調症が描かれてきたのかを知ることが重要です。
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