ブラッシングをマスターする。
第5話
ブラッシングをマスターする。
歯周病治療で歯科医院を受診している人の中には、まったく歯磨きを習慣的にしなくて歯周病になったのは当然の結果という人がいます。その一方で、『毎日しっかり磨いている』という人でも歯周病になってしまう人がいます。自分ではしっかり磨いていてるつもりでも、染め出し剤を使ってチェックしてみると、真っ赤になるケースがほとんどです。真っ赤になるのは、プラークなどの汚れがちゃんと落ちていない証拠になります。ブラッシングは幼い時に親が子に教えて覚えます。なので、親が間違ったブラッシングをしてしまうと、それを見た子供も間違ったブラッシングを覚えてしまいます。そうなると、家族全員が間違ったブラッシングをしてしまう危険があるのです。
ブラッシングの目的 ブラッシングの最大の目的は、うがいでは取り除けないプラークを取り除くことです。強く磨きすぎると歯肉を傷つけてしまう可能性が高いので、歯と歯肉の両方を優しくマッサージするように歯ブラシを当てるのがコツです。
ブラッシング基礎編 頻度:最低1日1回丁寧に
ライフメディアリサーチバンク2015年[歯に関する調査によると]によると、10~60代の男女1200人に調査した所、ブラッシングの頻度は76%の人が1日に2回以上、1回の歯磨きの時間は1~3分でした。ブラッシングは毎食後におこなうのは理想ですが、1日3回短時間でササッとおこなうのであれば1日1回しっかり時間をかけて丁寧にブラッシングしたほうが歯周病には効果的です。
丁寧なブラッシングは最低10分かけて1本1本を丁寧に磨いていきます。一般に歯は28本あるので1本に対して20秒ほどです。しかし、『正しい歯磨き』が出来ていなければいくら時間を長くかけても意味がありません。 道具の基本は歯ブラシです。道具が増えると一つひとつがおろそかになりやすいです。まず歯ブラシをしっかり使いこなせるようになるのが大切です。
・歯ブラシ
歯ブラシを選ぶときに重要なのは『歯肉を傷つけることのないもの』『歯垢をしっかり落とせるもの』です。
歯ブラシを選ぶポイント
1、 ナイロン毛
2、 植毛が密なもの(3列が目安)
3、 毛の硬さはふつうか、やわらかめ
4、 ヘッドは小さめ(小回りが利き、奥歯にも届きやすい)
5、 柄はストレート
歯ブラシはやわらかすぎるのは歯や歯肉に当たると毛が寝てしまって、プラークを落とすことができません。逆に硬すぎるものや毛がとがっているものは、歯肉を傷つけてしまいます。市販の歯ブラシを買うときは、まず普通の固さの歯ブラシにしましょう。使ってみて歯肉に痛みを感じるようでしたら、それより柔らかめな歯ブラシにしてください。自分に合う歯ブラシがわからない方は、歯科医院にて歯ブラシ指導の際にでも歯科医師や歯科衛生士に相談してみてもいいでしょう。歯科医院でも歯ブラシを購入することができます。
・ワンタフトブラシ
奥歯など奥まった磨きにくい場所はワンタフトブラシが有効です。ワンタフトブラシは、スティックの先端に小さなブラシの毛先が1つ付いている構造で、小回りが利くので、歯並びが悪く磨きにくい奥まった歯もしっかり磨くことができます。
・歯間ブラシ
歯ブラシでは取りづらい歯と歯の間のプラークをとる補助的な清掃器具です。すでに歯周病が進行してしまって歯肉が下がってしまっている人には効果的です。さまざまな太さがあるので、自分に合ったサイズのものを選んで使いましょう。細すぎると隙間ができプラークを取り除くことができません。逆に大きすぎると、歯や歯肉を傷つけてしまう恐れがあります。自分のサイズがわからない場合は歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。
・デンタルフロス
デンタルフロスは、歯と歯の間に入れやすいように糸にワックスをコーティングして滑りを良くしたものが主流になっています。デンタルフロスは歯肉がさがっていない健康な人には、歯周病の予防にもなるので、小さい頃から使い慣れておくことが大事です。ワックスなしのものは『ノンワックス、アンワックス』と呼ばれていて、ワックスがないので滑りが悪く歯の間に入れにくいですが、こちらのほうがプラークを綺麗に取り除くことができます。また、形状も、長いものを適当な長さにカットして使用する糸巻きタイプのものがあれば、持ち手がついたフロッサータイプがあります。歯と歯の隙間が狭く、歯間ブラシが通らない人はデンタルフロスをお勧めします。
・歯磨き剤
歯磨き剤には歯周病予防の成分が含まれているため、たくさん使えばより効果が上がると勘違いされている方がいます。歯磨き剤の量は、チューブから5mmほどで十分です。量が多いと泡立ちがよく磨いた気分になってしまい、ブラッシングが適当になりがちです。あるいは、歯磨き剤なしで丁寧に磨き、そのあと歯磨き剤を少量つけて磨く『二度磨き』もおすすめです。こうすれば、しっかり磨けて、歯磨き剤の清涼感も得られます。
歯ブラシの正しい使い方
プラークを落とすには、歯の表面と歯肉に歯ブラシの毛先を正しく当てて、小刻みに往復運動をしていきます。また、歯ブラシの先端側や持ち手側の角の毛束を使って、隅々まで磨きましょう。もちろん、ご自身の自己流の磨き方でも、きちんと磨けていればいいのです。前歯の裏側を磨くポイントは歯ブラシを縦にして、前歯の裏側に歯ブラシの毛先を当てて細かく動かします。
歯磨きポイント
1、 歯と歯肉の先目に45度の角度で当て、歯周ポケットに毛先が入ることを意識する
2、 軽い力で細く動かす
3、 一箇所につき20回が目安
歯間ブラシの正しい使い方
1、 ブラシを直角に入れる 歯と歯の間に、まず表側(頬側)から直角に歯間ブラシを入れます。一度手をゆるめ差し込んだ方向を確認し、ブラシを前後に動かしてプラークをかき出します。
2、 曲面に合わせてブラシの角度を変える 次に購入した歯間ブラシの角度を変えて、奥から手前に斜めに向けてブラシを入れ、前後に動かします。
3、 反対の角度からも購入し、同様に磨く 頬側と下側と両方から挿入して磨きましょう。
デンタルフロスの正しい使い方
フロスを30~40センチ取り、親指の先にくっつけた長さで両中指にフロスを巻きつけます。デンタルフロスは1日1回ブラッシングのあとに使用するとよいでしょう。
基本のデンタルフロスの動かし方
1、 歯肉の境い目よりちょっと下、つまり歯肉に少しかくれるまでそっとフロスを入れて動かします。
2、 フロスで歯の外側をこするようにして、上下に数回動かします。同じことを隣の歯の外側でもおこないプラークをとります。
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