歯磨きのとき、歯磨き粉を使うのは本当に良いことなのでしょうか?

第3話

歯磨きのとき、歯磨き粉を使うのは本当に良いことなのでしょうか?


1. 歯磨きを使用しない人の意見


歯磨き粉を使用しない人は、以下のいずれかを理由に使用しないという人がほとんどです。


理由1. 歯磨き粉を使用しなくても充分綺麗にできる

理由2. 歯磨き粉には研磨剤が含まれているから


ここで、それぞれの理由について考えみましょう。

まず「理由1」ですが、歯磨きの目的はプラークや食べカスの除去であり、

確かにこれらは歯磨き粉を使用しなくても除去可能です。

「使用してもしなくても除去できるなら、使用しない方が経済的にもおすすめです」という考えです。


次に「理由2」ですが、確かにほとんどの歯磨き粉には研磨剤が含まれています。

研磨剤とは歯を研磨する、つまり削るという手段で歯の表面を綺麗にする効果を持っています。

「この研磨剤によって歯が削られてしまう…だから歯磨きは使用しない」という考えです。

さて、これらの考えについてはいささか問題点があるので、今度はそれについてお話していきます。


2. 「歯磨き粉を使用しなくても充分綺麗にできる」の問題点


ただお口の中を綺麗にするだけが目的なら、確かに歯磨きを使用しなくてもそれは可能です。

歯磨き粉を使用することでお口の中が綺麗になった気分にもなりますし、

そういった錯覚を防げる点でも、歯磨き粉をしない方が結果的にお口を綺麗にできる人もいるかもしれません。


しかし、歯磨き粉の使用にはそれ以外の効果もあります。

例えば「フッ素によってお口の中を虫歯になりにくい環境にする」、「口臭を防ぐためのエチケット」などです。

歯磨き粉を使用しなければ、これらの効果は全く得られないことになるのです。


3. 「歯磨き粉には研磨剤が含まれているから」の問題点


確かに研磨剤は含まれていますが、工業用の研磨剤のような効果はありません。

歯磨き粉用の研磨剤は、歯はもちろん歯肉にも影響のない範囲の研磨性になっています。

さて、歯磨き粉を使用せずに歯磨きすれば、従来以上に歯を磨かなければなりません。


その時長時間ゴシゴシと歯を磨くことで、むしろその方が歯を傷つけてしまう可能性があるのです。

時間を掛けずに的確にプラークを除去できればいいですが、

それができないなら歯磨き粉を使用しない方が逆に歯を傷つけることになるのです。


4. 最も大切なのは「磨き方」


そもそも、お口の中を綺麗にするためのポイントとして重要なのは歯磨きの使用の有無ではありません。

何より大切なのは歯磨き粉を使用するかどうかではなく、「歯の磨き方」にあるのです。

いくら歯磨きを使用しても、スッとした感覚だけに満足して適当に磨いてしまえば何の意味もありません。


一方、研磨剤だけに警戒して歯磨き粉を使用せず、力まかせに磨いてしまうのも明らかにマイナス効果です。

このため、まずは正しい歯磨きの方法を覚えて確実にプラークを除去できる技術、

言わば歯磨きの精度を高めることを考えてください。


自分の歯磨きの精度に自信が持てて、フッ素の効果に頼らなくていいのであれば歯磨き粉は不要ですし、

やはりエチケットやフッ素効果も必要というのであれば歯磨き粉をすればいいのです。

つまり、歯磨き粉の使用の有無は自分の歯磨きの精度を高めた時点で考えるようにしましょう。


まとめ


いかがでしたか?

最後に、歯磨き粉を使うのは本当に良いことなのかについてまとめます。


1.歯磨きを使用しない人の意見 :使用しなくても綺麗にできる、研磨剤が悪影響などの理由で使用しない

2.「歯磨き粉を使用しなくても充分綺麗にできる」の問題点 :フッ素効果や口臭予防効果は得られない

3.「歯磨き粉には研磨剤が含まれているから」の問題点 :長時間磨く方が歯に悪影響を及ぼす

4.最も大切なのは「磨き方」 :お口の健康を考える上で最も重要なのは「歯の磨き方」

これら4つのことから、歯磨き粉を使うのは本当に良いことなのかが分かります。

このテーマにおける正解はなく、また不正解もありません。

漠然的な結論になってしまいますが、「使うのも使わないのも間違いではない」というのが答えです。

ただし、この結論においては2つのことが言えます。


1つは、研磨剤を気にしているのであればそこまでシビアに気にしなくてもいいということです。

もう1つは、正しい歯磨きの仕方を知らなければどちらにしてもマイナス効果にしかならないということです。

このため、まずは正しい歯磨きの仕方を覚えて歯磨きの精度を高めてください。

その上で、歯磨き粉を使用するかしないかを自分なりに考えればいいのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る