宅田汰久2024年4月

宅田汰久

2024年4月3日、台湾東部で震度6強の地震!

第1話

台湾東部で地震 9人死亡 963人けが 建物倒壊などの被害(3日)

2024年4月3日 22時02分


3日午前、台湾東部沖で起きた地震で、台湾当局はこれまでに9人が死亡したほか、963人がけがをしたと発表しました。


台湾メディアによりますと、現地では複数の建物が倒壊したり、道路が寸断されたりするなど大きな被害が出ています。現地の状況を随時更新でお伝えします。


目次

台湾東部 花蓮県で震度6強


林官房長官「日本人の被害情報なし」


台湾東部 花蓮県で震度6強

台湾の中央気象署によりますと、日本時間の3日午前8時58分ごろ、台湾東部の花蓮県沖およそ25キロを震源とするマグニチュード7.2の地震がありました。


台湾では日本と同じく最大で7まで震度があり、このうち花蓮県で震度6強の揺れを観測したほか、北東部の宜蘭県などで震度5強、北部の台北市や新北市など広い範囲で震度5弱の揺れを観測しました。


現地ではその後もマグニチュード6.5の揺れを観測するなど、地震が相次いでいます。


また、北東部の宜蘭県烏石で82センチ、東部の台東県成功で54センチの津波がそれぞれ観測されたということです。


9人死亡 963人けが

台湾当局によりますと、この地震で日本時間の午後9時までに

▼花蓮県で9人が死亡したほか

▼新北市や台北市、それに花蓮県などであわせて963人がけがをしました。


このほか、車両や鉱山に取り残されている人が152人いるということです。


日本の台湾との窓口機関「日本台湾交流協会」によりますと、これまでに日本人が被害にあったという情報は入っていないということです。


台湾メディアによりますと、今回の地震では、複数の建物が倒壊したり、落石で道路が寸断されたりするなど各地で大きな被害が出ています。


また広い範囲で停電が起き、水道やガスが止まるなど生活への影響も出ていて、台湾当局は救助活動やライフラインの復旧を急いでいます。


林官房長官「日本人の被害情報なし」

林官房長官は午後の記者会見で、現時点で日本人の生命や身体に被害が及んでいるという情報には接していないと説明しました。


そして「被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げる。海を接する隣人である台湾の困難に際し、日本政府として必要に応じて支援を行う用意があるが、現時点で台湾側からの支援要請はなく、まずは台湾側での対応に注力している段階と承知している」と述べました。


《花蓮県で大きな被害か》

台湾の消防当局によりますと、現地時間の3日午後5時の時点で、倒壊するなどして被害が出ている建物は173棟確認されていて、このうち28棟は花蓮県にあるということです。


花蓮県では、建物の中などに救助隊員が入って救助活動を続けています。


“建物倒壊 閉じ込められた人も”

台湾のテレビ局TVBSは、花蓮県で建物が崩れて1階部分が潰れ、バイクなどが下敷きになっている様子を伝えています。


また、山の土砂が崩れ土煙が上がっている様子や、建物の壁が崩れて道路に散乱している様子、金魚鉢の水や天井の照明が激しく揺れる様子などを繰り返し伝えています。


余震が絶えず起きており、花蓮県の被災状況は極めてひどいとみられるとしているほか、災害派遣医療チーム「DMAT」が出動しているとしています。


「TVBS」は、花蓮県を通る山沿いの道路が崩れているという情報もあるとしています。


各地で停電も起きていて、午前9時半の時点で台湾全土で8万7000戸余りで停電が続いているということです。台湾にある原子力発電所はすべて正常だということです。


花蓮県 地震で落ちたとみられる岩が路上に

NHKのクルーが現地時間の3日午後3時ごろ花蓮県の和平村で撮影した映像では、地震の影響で道路上に落ちたとみられる岩や、ポールが置かれ緊急車両以外の車を通行止めにしている様子などが確認できます。また、小学校のグラウンドにヘリコプターが着陸する様子も見られました。


地元の女性は「最初、地震が起きたときには小さい地震だと思っていましたが、どんどん揺れが大きくなり、みんなで外に逃げ出しました。山を見ると崩れ始めていて、ぼう然としてしまいました。家の中のものはほぼ全部倒れました。地震が続いているので家の片づけもできていません」と話していました。


現地に住む日本人「突然、突き上げるような揺れ」

花蓮市で和食のレストランを営み、現地の日本人会の幹事を務める溝渕剛さんはNHKの電話インタビューに対し、「突然下から突き上げるような揺れがあり、すぐ横揺れになった。揺れは収まる気配がなくどんどん大きくなって、部屋の中のものが倒れていった」と地震時の様子を話しました。


溝渕さんは地震の後、自宅と店舗の入る建物の中を撮影した映像をSNSに投稿しました。映像では、棚が倒れたり陶器が割れて粉々になったりしている状況が確認できます。


溝渕さんのもとには日本人が数名集まり、一緒にニュースを見たということで「花蓮市郊外で建物がかなり倒壊したというニュースが入っていて、外でもサイレンが鳴り止まない。家の周りでは建物の倒壊はないが出歩くのは控えている。住んで26年になるが一番大きい地震だった」と話していました。


旅行中の日本人「大きい横揺れが30秒」

栃木県から台湾に旅行に来ていて、地震当時、花蓮市の中心部の宿泊施設にいたという竹下鹿丸さんは「かなり大きい横揺れがあり、30秒くらい続いたと思います。隣の部屋のウォーターサーバーが横倒しになりました。揺れがおさまったあとに家族と駐車場に移動したあとまた揺れがあり、周囲は騒然としていた」と地震当時の様子を証言しました。


竹下さんが撮影

竹下さんが地震のあとに花蓮市で撮影した写真では、店の中で宝飾品が散乱している様子が確認できます。


スマホにも地震や津波の速報が英語と中国で表示されたということで、竹下さんは海沿いを避けながらレンタカーで避難しましたが、土砂崩れで道路が一部通行止めとなっていたため、避難先を変えなければならなかったということです。


花蓮県 観光地で日本人100人が在住

花蓮県は太平洋に面する地域で、長い海岸線や山脈から流れる川にできた渓谷など、自然が豊かな観光地として知られています。


人口はおよそ32万人で、日本の台湾に対する窓口機関の日本台湾交流協会によりますと、ことし2月末の時点で100人の日本人が住んでいるということです。


花蓮県を含む台湾東部ではこれまでもたびたび地震が起きていて、2022年9月にはマグニチュード6.8の地震で1人が死亡し、140人以上がけがをしました。


また2019年にはマグニチュード6クラスの地震が相次いだほか、2018年2月にはマグニチュード6.4の地震でホテルやビルが倒壊するなどの被害が出て、17人が死亡し290人以上がけがをしました。


《そのほかの地域でも被害》

宜蘭県 大きな岩が道路に落下

TVBSのニュースサイトは、台湾各地からの写真を掲載して被害状況を伝えています。


このうち、花蓮県に隣接する宜蘭県にあるトンネル付近で撮影された写真からは、崖が崩れて大きな岩が道路に落下している様子がわかります。


台北市 横揺れ1分間続く

台北市内では横揺れがおよそ1分間続きました。部屋の中では棚から物が落ちるようなことはありませんでした。



地震のあとに台北市内の住宅で撮影された映像では、シンクの下に備え付けられた食器などが入ったスペースが揺れの勢いで引き出され、ものが床に散乱している様子がわかります。


新北市 家具や本が次々と落下

新北市で30代の男性が撮影した映像では、部屋全体が大きく揺れ、家具や本などが次々と床に落下し、散乱している様子が確認できます。


男性は4階建ての建物の4階の自宅で寝ていたところ、地震速報の警告音で目が覚め、撮影したということです。特にけがなどはなく、「余震が起きるのを警戒している」と話していました。


TSMC 一部工場で従業員避難

半導体の受託生産で世界最大手の台湾のTSMCはNHKの取材に対して、一部の工場では従業員を避難させたことを明らかにしました。


そのうえで「全員無事で、避難していた人たちは職場に戻り始めている。影響の詳細については現在、確認している」としています。


また、建設中の工場については「きょうの建設現場での作業は中止することを決めた」としていて、検査を経て作業を再開する考えを示しています。


専門家「古い建物に被害集中のおそれ」

建物の耐震対策が専門で日本建築学会の元会長の東京工業大学の和田章名誉教授は、「現地の映像では街の角地に立つ5階以上とみられる建物の低層階の部分がつぶれて倒れていた。1階部分が店舗になっていて建物の柱が少ないとみられる。古い年代に建てられた建物には柱が少ないものがあり、こうした建物では被害が出ているおそれがある」と指摘しました。


また、「1999年に発生したマグニチュード7.7の大地震のあと、台湾では免震構造の建物が普及するなど耐震対策がとられてきたが、映像でみられたような古い建物で被害が集中していないか心配だ」と話しています。


旅行各社 被害情報なし

国内の旅行会社は、台湾へのツアーに参加している旅行客の状況や影響について情報収集を進めています。


このうち東武トップツアーズは、台湾への航空券を手配した個人の旅行客6人について、国内の営業所からの情報で安全が確認できているということです。


また読売旅行は、今月7日に豪華客船「クイーン・エリザベス」で台湾に向かうツアーを予定していて、現地の情報を確認するとともに、今後の実施については船会社の判断をもとに検討することにしています。


そのほか▼JTB▼エイチ・アイ・エス▼日本旅行▼近畿日本ツーリスト▼阪急交通社も、これまでにすべての旅行客の無事が確認できたとしています。


台湾ではこれまでも地震被害

台湾付近では、過去にもたびたび規模の大きな地震が起きて被害が出ています。


1999年の大地震

このうち1999年に台湾中部で発生したマグニチュード7.7の大地震では、コンクリート造の建物などが倒壊し、2400人以上が犠牲となりました。内陸の活断層で発生したこの地震では大規模な土砂災害や橋の損壊、ダムの決壊などの被害も起きました。


また、2019年にはマグニチュード6クラスの地震が相次いだほか、おととしには台湾東部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、1人が亡くなり140人以上がけがをしました。


日本企業各社 台湾の生産拠点などの影響確認

日本企業各社は、台湾にある生産拠点や店舗などに被害や影響が出ていないか確認を進めています。


台湾は日本とは特に半導体のサプライチェーンなどで結びつきが強く、外務省の海外進出日系企業拠点数調査によりますと、台湾にある日本企業の拠点数はおととし10月時点で1502か所となっています。


半導体関連では、

▼製造装置大手の東京エレクトロンは北部の新竹など4つの地域に営業や開発の拠点があります。会社によりますと、建物の一部に損傷が確認されたものの、長期化する影響は想定していないとしています。

▼三菱ガス化学は半導体材料の生産拠点が台中にありますが、被害は確認されていないということです。

▼富士フイルムは半導体材料の生産拠点が新竹と台南にそれぞれありますが、いずれも地震による影響はないということです。

▼三井化学ICTマテリアは半導体材料の生産拠点が高雄にありますが、影響はないということです。

▼半導体素材大手のJSRは新竹に営業などの拠点がありますが、被害は確認されていないということです。


大手自動車メーカーでは

▼トヨタ自動車▼ホンダ、▼日産自動車がそれぞれ現地に生産拠点を持っていますが、いずれも震源に近い台湾東部ではなく、各社によりますと、いまのところ地震の影響はないということです。


また、▼キヤノンは台中にあるデジタルカメラなどの生産拠点で一部の建物の壁がはがれるなどしましたが、生産への影響は出ていないということです。


一方、台湾に店舗を展開する外食チェーンなどでは一部の店舗の営業に影響が出ています。

▼カレーチェーンの「CoCo壱番屋」は台湾にある36店舗のうち北部にある桃園の2店舗がガスの停止を受けて、一時営業を停止しました。このほかの一部の店舗でも天井からの水漏れや店内で備品が落下する被害が確認されたものの、営業は続けているということです。


コンビニチェーンでは

▼セブン-イレブン・台湾が、3日午後5時の時点で台北市やその周辺のあわせて7店舗で停電や断水などの影響で一時的に休業しているほか、

▼ファミリーマートが停電や商品が落下した影響で日本時間の3日午後1時の時点で4店舗が一時的に休業しているということです。


また、無印良品を展開する「良品計画」も花蓮県にある1店舗が地震の影響で3日は臨時休業したということです。


岸田首相「必要な支援行う用意ある」

岸田総理大臣は旧ツイッターの「X」に、「台湾東部で地震が発生し大きな被害が出ているとの報に接し、大変心を痛めています。被害に遭われた方々に対し、心からお見舞い申し上げます」と投稿しました。


その上で「東日本大震災や能登半島地震の際にも大切な友人である台湾の皆さまから本当に心温まる支援を頂いたことに私たちは心から感謝しています。海を接する隣人である台湾の困難に際し、日本としては必要な支援を行う用意があります」としています。

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