【詳報】菅首相会見 緊急事態宣言 8道県を追加20210825
第51話
菅総理大臣は、8月25日午後9時過ぎ、緊急事態宣言の対象地域の拡大などを決めたことを受けて記者会見し、全国的にほぼすべての地域で、経験したことのない感染拡大が継続しているとして、医療提供体制の確保などに万全を期す考えを強調しました。また、ワクチン接種について、9月末までに、国民の6割近くが2回の接種を終える見通しだとして、着実に進めていく考えを示しました。
菅総理大臣の記者会見の主な内容は次の通りです。
医療提供体制
「新規感染者数は、過去最大の水準を更新し続けている。特に中部圏などにおいて、高い増加を示している。全国的にほぼすべての地域でこれまでに経験のない感染拡大が継続している。保健所の体制や、医療提供体制も厳しい状況が続いている」
「国民の皆様のご協力をいただきながら、この危機を何としても乗り越えていく。そうした決意に変わりはない。確実に医療を受けることができるよう緊急的な医療対策を速やかに進めていく。国民の命と暮らしを守るため、必要なことを、一つ一つやり遂げていく」
“一時的な療養施設を増やす”
「一昨日、東京都内の医療機関に対し、最大限の入院患者の受け入れなどについて、感染症法に基づく要請を、国と東京都で共同で行った。また今回の緊急事態宣言の発出にあたり、国からそれぞれの都道府県に対し、最大限の病床を確保し、医療体制を速やかに強化するようお願いした。国としても、自治体の医療強化の取り組みには全面的な支援を行っていく」
「国立病院機構において、新型コロナ対応の病床を、東京全体で200床まで拡大し全国の新型コロナ対策センターとしての役割を果たしていく。いわゆる野戦病院をつくるべきだという多くの指摘を頂き、病院の空きベッドやそれ以外の施設も活用し、酸素の投与を可能とする臨時の施設は、これまでに全国14か所に設けられた。こうした一時的な療養施設を宣言地域を中心にさらに増やしていく」
自宅療養者への対策
「まず第一に、自宅療養者への対策だ。自宅で療養されている方は、大変心細い気持ちで過ごされていると思う。患者さんが、最初に受診した診療所などでも健康観察や相談、電話診療などを行っていただける体制を、地域の実情に応じて、医師会の協力も得て、速やかに構築していく」
妊婦への医療
(千葉県で新型コロナウイルスの感染が確認された妊婦の入院先が見つからず、赤ちゃんが亡くなった問題について) 「受け入れ病院の調整に困難をきたし、赤ちゃんを亡くされるという大変痛ましいことがあった。新型コロナに感染した妊婦に対応できる、高度な医療体制についても、地域での確保を進め、緊急時でも迅速な搬送を行えるよう、病院、都道府県と消防機関の情報共有と連携の強化を徹底していく」
子どもの感染対策
「残念ながら、子どもたちの感染も増えている。来月の新学期を控え、できる限り教育の機会が損なわれることのないよう、子どもたちの対策を進めていく。学校での感染が大きく広がることのないよう、チェックリストの周知を進め、発熱などの症状がある場合は登校しないことなど、基本的な感染対策を徹底していく」
「幼稚園、小中学校におよそ80万回分の検査キットを配布し、早期の発見・対応に努めていく。さらに教職員のワクチン接種を進めていく。これまでも、自治体の大規模接種会場や、700を超える大学の接種会場では、教職員の接種が行われているが、そうした機会をさらに活用し、希望する教職員へのワクチン接種を行っていく」
「国から全国一斉の休校を要請することは考えていないが、学校で感染者が出た場合には、学校や自治体が、濃厚接触者の特定や休校の判断を適切に行えるよう速やかにガイドラインを示していく」
抗体カクテル療法
「中和抗体薬は、すでに1400の医療機関で1万人に投与され『重症化を防ぐ極めて高い効果が出ている』という声が現場から寄せられている。これまで対象は入院患者のみとされてきたが、入院せずとも使うことが出来るよう、外来で使うことも可能とする。必要な数量はしっかりと確保している。今後とも50代以上の人や基礎疾患がある人を対象として集中的に使用し、重症化を防いでいく」
業種別ガイドライン
「飲食店の時間短縮や大規模商業施設の入場制限を行う。感染力の強いデルタ株に対処し、現場で分かりやすい感染対策を進めることができるように、百貨店など多くの利用者と接する職場を中心に、業種別ガイドラインを見直していく」
「テレワークについても、それぞれの職場でさらなる工夫を重ねて、昨年春に多くの企業が達成した出勤者7割削減に向け、取り組みを進めていただきたい。そして1人1人がリスクの高い場所、リスクの高い行動を避けていただくようお願いする」
予備費1兆4000億円支出へ 飲食店への協力金も
「今週中に、1兆4000億円の予備費の使用を決定する。ワクチン接種の体制や中和抗体薬の確保といった緊急の課題に対応し、雇用調整助成金や緊急小口資金などを続けていくため、万全の予算措置を講じていく」
「先月、導入した早期給付への申請に対し、首都圏では、ほぼすべてが、すでに支給をされている。今回、追加された地域も含め、他の地域についても都道府県と協力し、速やかな支給に努めていく」
“社会経済活動の回復も検討”
「感染力の強いデルタ株のまん延により、感染者を抑え込むことは、これまで以上に容易ではなくなっている。しかしながら、現在進めているワクチンの接種は、デルタ株に対しても明らかな効果があり、新たな治療薬で広く重症化を防ぐことも可能だ。『あかり』は、はっきりと見え始めている」
「来月12日の宣言の期限については、ワクチンの接種状況、重症者の数や病床利用率などを分析し、判断を行っていく。その先には、ワクチン接種証明書の積極的な活用の方法を含め、飲食店の利用、旅行、イベントなど日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討する」
「テレワークを率先してやらなければだめだと思っており、これからどんどん増やしていかなければならない。私自身も進めていきたい」
“ワクチン接種進める”
「ワクチン接種は8月も1日100万回以上のペースで進み、きのうまでに全国民の54%が少なくとも1回の接種を行い、43%が2回の接種を完了し、総接種回数は1億2000万回に達している。企業や大学における接種は、当初の2400の会場に加え、今月から新たに140の会場で行われ、来月半ばまでにはおよそ1500の会場で開始される」
「今月末には全国民の半数近くが2回の接種を行い、来月末には6割近くが接種を終え、現在のイギリスやアメリカ並みに近づく見通しだ。特に目立って重症化の傾向が見られる50代については、これまでにおよそ5割が1回の接種を行い2回の接種を終えた人は3割となっている。着実に接種を進めていく」
ワクチン“3回目接種の態勢 整えている”
「イスラエルやイギリスでは、2回目の接種完了から8か月近く経過している。そういう中で感染が増えており、3回目の接種が検討されてると承知しているが、わが国は、まだ、そうした期間になっていない」
「ワクチンを接種したことによって、感染や死亡が、大幅に減少しているので、ワクチン効果は強いものがある。来年、3回目を打てるよう、ファイザーをはじめとしたワクチンは確保していて、3回目をいつからやるか決まればできるような態勢は整えている」
(12歳未満の接種について) 「現在、企業が海外で治験をしている。そうしたことをしっかりと精査した上での対応になる」
「総理のことば」について
(「総理のことばが国民に届いていないことが感染拡大が続いている原因ではないか」と指摘されたのに対して)
「医療体制の構築を最優先に、感染防止対策、ワクチン接種という3本の柱からなる対策を徹底し、この危機を何としても乗り越えていくことが、総理大臣として、私に課された責任だ。私のことばについて、厳しいご指摘を頂いているが、しっかり受け止めて真摯に対応していきたい」
これまでの新型コロナ対策は
(「これまでの新型コロナ対策がうまくいっているか」という質問に)
「昨年、総理大臣に就任してから、毎日のように、コロナ対策を中心にやってきていると言っても過言ではないと思っている。諸外国はワクチン接種によって、かつての日常を取り戻し始めることができ、私自身も、ワクチン接種に全力で取り組んできた」
「日本は、ワクチンについて、さまざまな歴史があり、ワクチンを作っている国と比べ 遅れていたが、ワクチン接種を始めてからは、毎日平均110万回、先月には150万回の接種をしてきている。私自身、ワクチン接種には、全力で取り組んできて、そこはよかったと思っている」
「医療体制の確保も極めて大事だ。コロナ対策をしっかり進めて、1日も早く、かつての日常を取り戻すことができるように、全力でやっていきたい」
(「ワクチンを打っているからこれまでのコロナ対策は成功しているということか」という質問に)
「それは、ほかの国と比較して、死者の数とか、そうしたことを比べてみると明らかになってくるのではないか」
全国一律での緊急事態宣言は
(全国知事会が、全国一律での緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を要請していることについて)
「それぞれ地方の特殊事情があるので、そうしたことを配慮しながら進めさせていただいている」
尾身会長 “宣言の解除は医療の状況を見て判断”
菅総理大臣の記者会見に同席した「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は、9月12日に期限をむかえる緊急事態宣言の解除の判断について
「緊急事態宣言は、これまでの宣言でも今回でも目的は明らかで、医療のひっ迫をなんとか軽減したいということだ。医療のひっ迫については2つの側面から考えるべきで、ひとつは新型コロナの患者に十分な治療を提供できているか、もうひとつは一般の医療への制限が許容できるレベルを超えているかどうかだ。今後、時期が来れば宣言解除の判断が話題になってくると思うが、こうした2つの側面から医療のひっ迫がどの程度、軽減できているかをみて判断することが最も重要なことだ」と指摘しました。
その上で「医療のひっ迫を和らげるためには国や東京都が始めている臨時の医療施設の開設や、コロナ診療に携わってこなかった医療機関にできる範囲で診療に携わってもらうなどの対策が必要だ」と述べました。
尾身会長 “納得してもらえる対策を”
「東京では緊急事態宣言が出ている中、いったんは人流が減ったがまたここに来て再び人流が増えている。人々の協力がなかなか得られなくなっているという現実を受け止めることが重要で、単に宣言を出すだけで無条件に問題が解決するとは思わない方がいい。一般の人にも納得してもらう合理的な対策がますます重要になってきている」
(夏休みが終わり、新学期が始まることについて)
「小学校から大学までそれぞれの特性にあわせて4つの対策が重要だと考えている。▽保育所や幼稚園の先生にワクチンを打ってもらうこと、▽健康観察アプリを活用した体調の確認と少しでも具合が悪い人には抗原検査を行うこと、▽大学や高校での特に運動系の部活動ではクラブ活動の直前に抗原検査を行うこと、そして、▽大学生に関しては社会人に近いため、今の厳しい時期に限ってはオンライン授業を行ってもらうという対策だ」
「これからやるべきことはワクチンや検査、それに科学技術をフルに活用して人々に納得して協力してもらえるようにすることなどだが、国会議員には、人々や医療機関に今まで以上に協力してもらえるような法的な仕組みの構築などについて一般の人たちの意見を聞きながら議論を始めてもらいたい」
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