灰の守護者

@aaaaa12335

1.灰の守護者って知ってる?

ダンジョンという存在が当たり前の現代社会。

ありとあらゆる場所にダンジョンがあり、多くの人々がダンジョンに潜る。

ある者は魔物を倒して快感を得るために。ある者は良い素材を集めて売るために。ある者は気になる相手といい感じの雰囲気になるために。


もちろん、誰もが気楽に入れるわけではない。

ダンジョンにはA~Gのランク付けがされており、Aに近づくほど攻略が困難で命に関わる。


ではAを攻略するのは誰か、なんのために攻略するのか。

それは...


「あーそういうのいいから...!早く灰の守護者について教えて?」


「わかったよ...灰の守護者ってのはねぇ...とある冒険者のこと!今わかってるのは全身が灰色の鎧を装備してるってだけで、名前どころか顔もいつどこで何をやっているかも知られてない...!」


「じゃあ稲葉いなばはなんでその人のファンなの?」


「最強で最高の冒険者だから!ピンチの時は絶対に助けに来てくれるの!これ!この前ネットに上がってたやつ!」


稲葉はスマホでとある動画を友人に見せる。


「やば...バジリスク5匹をボコボコにしてる...」


画面に映っているのはA~Cランクのダンジョンにしか出現しない強力な蛇の魔物"バジリスク"5匹を圧倒する灰色の鎧を着た人物。


「すご...使ってる武器は...なにこれ...形はツヴァイヘンダーだけど...この武器稲葉は知ってるの?」


「知らない。」


「えぇ?ファンなのに?」


「あのね、この人は見かける度に違う武器を持ってるんだって!」


「それってつまり...?」


「どんな武器でも扱えるってことに決まってんじゃん!まず最初に発見されたときの武器は刀で、次は戦斧、その次は...」


「あっごめん!もうそろそろ行かないとバイト遅刻しちゃう!また明日聞かせて!」


「まだバイトしてたんだ(笑)あんたもダンジョン潜ればいいのに。結構稼げるよ?」


「私はそういうの向いてないから...!じゃ!また明日!」


早歩きで教室を出る友人に手を振り、自らも帰宅の準備をする。

柊稲葉ひいらぎいなば。高校2年生。ダンジョン女子。

そして灰の守護者の大ファンである。

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