翔ばずが如く

伊酉ふみ

プロローグ 征韓論の是非

西郷隆盛

「然れども韓国の侮り、我が国に耐え難し。政略をもって此の侮辱を討たずんば、国威衰え、士気失わるべし。征韓こそが我が国の気概を示す道なり。異なる文化の下にありて閉塞する韓国を、軍を率いて開かしめん。此れ、我が武士の誉れにして、仁の道をも具現せん。」


大久保利通

「西郷どのの言う所、義あること疑わず。しかし今は、国力を内に充実せしむべき時なり。富国強兵の基礎未だ成らず、内治を固めるこそ急務なりと存ず。朝鮮との争いは我が財政を逼迫せしめ、国民の負担と為らん。内乱の恐れも生じ、天下の平和を乱す恐れあり。征韓は一時の利に過ぎず、長期の国益に非ざるべし。」


羽柴秀吉

「西郷、利通両殿の見解、いずれも理あるを認む。拙者も一度、朝鮮に渡り、道を説かんと試みたり。が、兵を以ての征服は、我が国の威光を世界に示す好機なり。民心も奮い立つべし。無論、準備と計略を尽くすことは肝要に候えども、敢えて行動せずして何と申さん。」


安倍晋三

「古の教訓を鑑みつつ、今こそ慎重に事を運ぶべきと存ず。国際の大局を見据え、征韓は対話と外交をもって進むべきと信ず。即ち、武威に頼らずして、我が国の誠意を以て友好関係を築かんとする。開かれた外交の道こそ、国際の信頼を高め、我が国を強固たらしめると考ふ。」


西郷隆盛

「諸公の言説、成る程なるも、やや臆病に過ぎざるか。己が身を顧みず、民のために剣を執る覚悟こそ、国家の真の繁栄を築く根基なり。征韓は決して軽挙に非ず、志のある道なり。」


大久保利通

「西郷どのの気概は尊重すべきも、内に乱を生ぜしむることは無謀なり。我らはまず内なる強化に尽力し、国を富ませ、後に外交の力を以て韓国を諭すべし。時機を誤らば、我が国の繁栄も危ふくなる。」


羽柴秀吉

「利通殿の慎重なる策、思慮深し。然れども、武力の威光にて道を開くこともまた一つの道なり。ここで声を挙げぬは我が民の士気を損ずること、慎むべきは行動に非ず、計画なり。」


安倍晋三

「秀吉公の仰せも御尤も。しかし、現代にあっては外交の妙技こそが、最も尊ぶべき戦略と存ず。今こそ国際の和をもって、韓国と相互の繁栄を目指すべきでありましょう。」


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議論は四者四様に分かれ、いずれも己が信じる正道を譲らぬ。

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