韓国渡航後の回想
**登場人物による回顧**
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西郷隆盛の回想
「我が韓国行きは、期待とは裏腹に思い通りには進まざりき。韓国にて拙者は礼を尽くし、国書を受け取るよう粘り強く交渉を試みたり。されど、韓国の朝廷は依然として我らを無視し、日本の新政府の威光を受け入れることを頑なに拒絶した。そればかりか、我が交渉の席を設けるどころか、交渉そのものを卑しむが如き態度に出る始末。このような状況にありて、拙者は武士の誇りを賭して再度説得を試みたが、ついに徒労に終わりたり。」
大久保利通の回想
「西郷どのの決断と韓国での行動は、確かに武士として誠心を尽くしたものであったと承知しておる。だが、韓国側が反発を強め、やがて我が国も対応を迫られるに至り、我々は国内の安定を優先せざるを得なんだ。拙者は国力の増強と内政の充実を重んじ、また武力による威光が後々の国際関係に与える影響を懸念したが、もはや西郷どのの心は揺るがず、その果敢なる行動に忠を尽くすばかりであった。」
板垣退助の回想
「西郷どのの気概には誰もが敬服した。だが、韓国の朝廷は我が国の誠意をことごとく拒絶し、西郷どのの使節としての労も虚しきものとなった。拙者としても、内に不満を抱く士族らの活路を韓国行に見出したいと思うていたが、韓国側の強固な拒絶により、士族の士気も萎え、我が望みも潰えた次第なり。」
江藤新平の回想
「西郷どのの行動が韓国で実を結ばぬと知り、拙者も失望を禁じ得なかった。韓国はただ無礼に我らを扱い、新政府への侮りをあらわにした。しかし、思えば韓国は未だ旧来の儒教的体制を根強く信奉し、外からの影響に身構えていた。我々が望む対等なる関係を築くには、やはり時とともに信頼関係を積み上げる道しかなかったかもしれぬ。」
副島種臣の回想
「西郷どのは韓国に誠を尽くしたにもかかわらず、その使節は礼を欠かれ、交渉は徒労に終わりたり。我が国の威光を示さんとするも、韓国は聞く耳を持たず、むしろその拒絶の姿勢はさらに我らの士族の不満を刺激する結果となった。もしや我らの道は外交ではなく、己が道を進むにあったかと悔やまれるばかりなり。」
木戸孝允の回想
「我らは最初から慎重に行くべきであったのだ。韓国の強固な拒絶により、士族の士気も一層揺らぎ、ついには不満が噴出し、内紛へとつながる危険が増した。我が国は、まず国を固め、外に出る余力を蓄えた後に韓国と交渉すべきであったろう。だが、西郷どのの決意が無駄であったとは言わぬ。彼の行動は我らの士族層に己が信念を貫く力を示し、後の世に日本が如何に自立し、誇りを守るかを示したものである。」
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こうして韓国行きは一つの教訓をもって終わりを告げた。西郷が誠意を尽くしてもなお韓国は拒絶し、士族たちの不満は高まる一方であった。この挫折は、新政府が国内の安定をさらに強く意識せねばならぬことを悟らせ、外征に頼らず内政の強化が急務であることを強調する結果となった。
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