第21話
トレントからは、フルーツがドロップしないのか?と諦めそうになっていたその時、ようやく、さくらんぼがドロップした。
ダンジョンに挑戦を始めてから初めてアイテムがドロップしたこと、それが欲しかったフルーツであり、私の好きなさくらんぼだということが嬉しすぎて飛び跳ねていた。
一時の盛り上がった気持ちが落ち着いたとき、冷静に考えてみると、ドロップしたさくらんぼは、一つで当たり前かもしれないが、実は二つしかついていない…。
これでは流石に小さな体とはいえ満足ができなかったので、フルーツの探索中に見つけた次の階層へと進む階段を降りることにする。
次の階層では、トレントと芋虫の魔物が出てくるようである。
私になったときから虫は嫌いで受け付けられないので、見つけた瞬間に光魔法で跡形も残らないように消し去っている。
どうやら、回復魔法を練習しだしてからというもの、光の攻撃魔法の威力も増していているようだった。
それでも跡形もなく消し飛ばせているのは魔法を連発しているからに他ならないが…。魔法の使いすぎで魔力をだいぶ消費しているのを感じるが、芋虫は無理なので仕方ないと思う。
うねうねと動くし、大きいし、気持ち悪いのがいけないのだ。
二階層を探索し始めてからしばらく経ったのだが、出てくるのは芋虫型の魔物だけで未だ、トレントに出会えていなかった…。
フルーツを落としてくれる魔物を倒しに来たので、さくらんぼを落としてくれるトレントを中心に倒していきたかったが、二層は芋虫が多く出てくるようでそう上手くはいかないらしい。
それから、わかったことも多くあって、トレントは目が見えていないようで、私たちが持つ魔力に反応して襲ってきているので、魔法を使おうとすると、魔力の高まり?を感知してなのか、魔法を行使しようとする対象を優先的に狙ってくるようになるみたいである。そして、もし魔力を持っていなければ、感知できないので、トレントは襲ってこないかもしれないが、今の所魔力を持ってない人など見たことがないので、一方的に攻撃できる人がいるわけではないと思う。
なお、芋虫の魔物については、出会ったらすぐに魔法で消し飛ばすようにしているので、どのような性質をもつかなどは全くわかっていない。
道中、ダンジョンから帰っているPTを見つけたのだが、少し話をきいたところ、フルーツがぼちぼち落ちるようになるのは6層以降で、下の階層の魔物が落とすフルーツほど美味しいらしい。
ということがわかったので、とりあえず6層を目指して急いで進むことにした。
また、アイテムのドロップ率も下の階層ほど高くなっているようで、下の階層の方がドロップアイテム集めは効率は良いらしい。
ダンジョンをマッピングしながら先に進んでいたのだが、3層に続く階段を見つけるのに手間取ってしまい、ようやく見つけたと思ったらもうお昼の時間を回っていた。
なので、3階層に降りる前にお昼を食べることにする。サンドウィッチは特にいつもと変わらないものだったのだが、今日はドロップアイテムのさくらんぼがある。
持ってきたペットボトルの水で軽くさくらんぼを洗い、早速食べてみることにする。
さくらんぼの見た目や大きさなどは普通のものと一切違いがなく、ダンジョン産のさくらんぼと農家さんのさくらんぼを並べられたら、普通の人は一目見ただけでは絶対にわからないと思う。
私の眼は魔力を直接見ることができるので、さくらんぼに含まれている魔力の違いから、ダンジョン産か否かはみたらわかる。
早速、一つ食べてみると、味は甘酸っぱいさくらんぼなのだが、異常に美味しさをしている。その美味しさのあまり、二つ目をぱくっと食べてしまう。
不思議なことに、味自体は農家さんの作ったブランドになっているさくらんぼの方が味は良い気がするのだが、ダンジョン産の方が美味しく感じる。
これは、体が魔力を摂ることを求めているのかも知れないと思う。
それは例えば、夏の暑い日、激しい運動で熱中症になりかけていたり、軽度の熱中症になった時に、スポーツドリンクが普段飲む時より何倍も美味しく感じる感覚に近いものであると思う。
食事を済ませたことで、エネルギーを再充電した私たちは、次の階層である3層に進むことにする。
3層では、トレント、芋虫の魔物、そしてアルミラージという、可愛いうさぎに角か生えた魔物が出てきているようであった。
新しく出てきたアルミラージは、その特徴的な角で攻撃を仕掛けてくるのだが、その性格は温厚で追い詰めたりしなければ、相手から襲ってくることはないようであった。
アルミラージはあまりにも可愛いので、出来るだけ倒さないでいいように気をつけている。
3階層は、特に手こずることもなく簡単に次に進むための階段を見つけることができたのですぐに4階に進むことができたのだが、帰る時間も考えないといけないので、駆け足で先に進むことにする。
早く先に進みたい私の願いに応えてくれるかの如く5階層に私たちは、辿り着いていた。なお私は、お母さんを何処かに置いてきたようでいつのまにか一人になっていた。
後で、怒られるだろうなと思ったが、どうせ怒られるなら先に進んでしまおうということで6層を目指して走り出した。
ボスを周回している冒険者の人たちに声をかけられたような気はしたのだが、対応がめんどくさかったので気にせず先に進むことにした。
幸いボスがリスポーンするまでまだ時間があるようで、ボスを無視して先の階層である6階層に進むことができた。
6層に降りると、そこは今までとは違い、トレントに果物がついていたり、空飛ぶ林檎がいたりしている。
果物が多く取れるという話は聞いていたが、なんだか御伽話の一部であるかのような印象を受ける。
とにかく魔物が可愛い!可愛い魔物が多いので戦うのを楽しみにしながら、私は魔物に対して突っ込んでいく。
トレントの動きなどは今まだずっと見てきたので、多少強くはなっているのかもしれないが、容易に倒すことができた。トレント以外の魔物にも目移りしてはいたのだが、とりあえずトレントからドロップするアイテムを検証することにした。
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