第17話

 お母さんが換金に並んでいるうちに、鍛冶屋に行くことにする。


 鍛冶屋は幾つかあるのだが、刀を買ったお店に行って話を聞いてみることにした。


 お店には、中年の店主がいたのだが顔つきが怖い…。


 以前もここで買ったはずなのに今回は怖く感じてしまう。


 私一人だからかもしれないが、刀を見てもらいたくてうろうろしていると、店主のおじさんから声かける。


「お嬢ちゃんどうしたんだい?迷子なら受付まで連れて行くから話してみなさい」


 とその怖そうな見た目からは想像がつかないような、できるだけ私を怖がらせないように気を遣って話しかけてきてくれる。


 こんな見た目をしているけど、優しい人なのかも?と思うとなんだか私が怖がっているの馬鹿らしく思えてきた。


「店主さん、私ここで刀を買ってもらったのですけど、見てもらえませんか?」とここにきた目的を伝える。


 すると、「嬢ちゃんはうちの客だったのか。小さい子が一人でいるから、迷子かと思ったぜ。いいぜ、見せてみな」と言われたので、私は刀を店主さんに渡す。


 すると、店主さんが刀をしばらく見た後に驚いた表情を一瞬見せたと思ったら、私と刀を何度も見比べる。


 何をしているだろうか?と疑問に思っていると、「嬢ちゃんは見かけによらず、上手いこと刀を使えるだな」と話しかけられたので、


「そうなのです?店主さん」と聞き返すと、「悪い悪い、自己紹介がまだだったな。俺の名前は原田厳はらだげん。ここの店主をさせてもらっている」と教えてもらった。


 相手にだけ自己紹介をさせては悪いなと思ったので、「私の名前は上泉風楓花かみいずみふうかです。


 よろしくお願いします」とぺこりと頭を下げる。それから、原田さんに色々なことを教えてもらった。


 曰く、この刀は上手く扱われているようであまり刃こぼれしていないこと、私の歳で自身の刀を見てもらいに来る子は見たことないこと、もし希望があれば将来オーダーメイドで刀をうってくれることなどいろいろな話をした。


 そうして、原田さんと話していると、原田さんだと他人行儀だから、げんさんと呼べと言われたので、これからは「げんさん」と呼ぶことにする。


 刀に刃こぼれなどはないものの、せっかく来たのだし少し研いでもらうことにした。


 そうやって刀の整備をしてもらっているとお母さんが戻ってきたので、今がどのような状況なのか説明する。


 現状の説明していると、刀の整備が終わったようで、げんさんがこっちにやってきて刀を渡してくれる。試し切りもできるらしいのでお願いすることにした。


 色々と的?はあるのだが、今回は使わなくなった畳でお願いすることにした。


 その前に、そこら辺に置いてあった、バケツに水を汲んできて畳に水を何度かかける。


 何をしているのかというと、濡れた畳を斬る感覚というのは、人を斬る感覚に似ているらしく、中々一振りで斬ることが難しいとされている。


 初心者が試した場合、多くは途中で止まるかそもそも掠った感じで終わるだろう。


 なので今の私の腕前試しという意味も含めて、一度挑戦してみたかったのである。


 なお、お母さんは、畳にいきなり水をかけ出した私を止めようとしていて、げんさんは驚いて動けないようだった。


 どうやら、げんさんは知識としては知ってはいたものの、私ぐらいの歳の子が知っているとは思わず驚いてしまって固まっていたらしい。


 なお、お母さんは知らなかったらしく、私がバケツに水を汲むと慌てた様子で止めようとしていた。


 二人が見ている前で、刀を構えて集中する。


 今回は身体強化魔法などには頼らず素の私で挑戦することに決めている。


 そして、要らない力が抜けたと思ったタイミングで刀を振るう。


 すると、畳は綺麗にふたつになった。


 思っていたより、簡単に斬れたことに驚いた。


 それから、斬った感覚についてはなんとも言えないもので、体験していたものではネズミの魔物を斬ったものが1番似ていると言えるかもしれないが、中々に斬りにくいとは思った。


 もし、余計な力をいれたり、刀の角度がブレたら途中で止まってしまうであろうと思った。


 試し斬りをさせていただいたことにお礼を言って代金を払ってから今日もスーパーで買い物に行って帰ることになった。


 欲しいものは何かないかとまた、尋ねられたので少し高いハンドクリームとリップクリームを買ってもらうことにした。


 唇が乾燥で、かさかさになったら嫌だし、手がすべすべ出なくなるのが嫌だったのでこの二つを買ってもらうことにした。


 それなら、お母さんが別で買ってあげるから他に何かないのか聞かれたのだが、「それなら日焼け止めクリームをお願いします」と私がいうと、「そういう事じゃないんだけど…」と諦めたようで、私用の日焼け止めとハンドクリームそしてリップクリームを買ってもらった。


 折角なので評判がいい少しお高いものを買ってもらうことにした。


 前世では、リップ、日焼け止め、ハンドクリームなんて安いものだと思っていたのだが、これが高いものはすごく高い…。


 ダンジョンで稼いでなければ、小学生の私が買うことはできなかっただろう。


 これを学生が買おうと思ったら、お小遣いでは厳しく、バイトをしなければ買うことは難しいだろうと思う。


 この年齢でここまで気をつける子は中々居ないんだろうなとは思うが、他の子は他の子で、私は私だ。


 私には理想のヒロインになるという夢?があるのでそのためにはこのようなところから、気をつけておかなければならないだろう。


 必要な物を買ってもらった後に、夕飯の食材を一緒に見て回ることにした。


 蛤が安くなっていたのと、きのこ系の魔物の食材が並んでいたのでその二つを、ベースに考えて献立を一緒に考えていく。


 きのこの炊き込みご飯と蛤のお吸い物、それから鯛の切り身になった。


 家に帰ってきたらもう夕方で、夕飯を作る時間になっていた。


 夕飯を作るのを手伝おうと思っていたら、お母さんは、洗濯物を洗うのを忘れていたようでその間一人で調理をすることになった。


 下処理だけしてあとは任せようと思う。まず、蛤は一応砂抜きをするために塩水に浸しておく。


 次に、鯛は身から出た水分を軽くキッチンペーパーで拭いて、アルミホイルを広げて、昆布、鯛の切り身、えのきの順番で入れていく。


 最後に気になっているきのこの魔物の食材だが、こちらはよくわからなかったので置いておくことにして、お米だけ研いでおくことにした。

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