17
とりあえず、夜も少し勉強するからと言って夜食を用意してもらい、私はカゴに入ったサンドイッチと飲み物を持って自室へと戻る。
その間も八神君は私のベッドを陣取っていて、もはや自分の部屋のように思いっきりくつろぎ、仰向けになってスマホをいじっていた。
「あの、八神君お家に帰らなくて大丈夫ですか?もうすぐ九時を回りますよ?」
一先ず用意したサンドイッチを差し出すと、何も言わずに黙々と食べ始める彼の姿を見ながら、改めて浮かび上がった疑問をもう一度ぶつけてみる。
「別に。俺今一人暮らしだし、あんたらみたいに門限とか関係ないから」
「ええ!?そうなんですか!?」
すると、予想だにしない返答が来て、思わず大声をあげてしまった私は、慌てて自分の口を塞ぐ。
まさか、あの天下の八神グループの御子息が一人暮らしとは。
名家の人間が高校生からそんな生活をしているなんて、これまで聞いたことがないし、世間的にもあまりない。
他所のお家事情に口を挟む気はないけど、そのお陰で八神君はここまで自由奔放なのかと。
納得と同時に一気に体が重くなった気がして、私は密かに溜息を吐いた。
「それなら、少しなら休んでて構いませんよ。他に何かして欲しいことはありますか?」
「それじゃあ、風呂入らせて」
「それは自分の家で入ってください!」
一応怪我人なので労わろうとした手前。
またもや無遠慮な上に、想像を超える要求をされ即却下した。
というか、そんな傷だらけの体でよくお風呂に入ろうとするなと、ある意味感心してしまう。
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