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「それじゃあ、亜陽君。また明日学校でね」
気付けば空はすっかり暗くなり、昼間に比べると寒さが益々身に染みて、私は体を小さく震わせながら彼に満面の笑みを向ける。
「うん。今日も美月と一緒に居て楽しかったよ」
「私も、亜陽君と居れて楽しかった」
デートの終わりには、冷えた体を溶かしてくれる程の温かい笑顔を見せ、決まってこの台詞を言ってくれる亜陽君。
「美月、愛してる」
そして、もう一つのお決まり事。
それは、別れ際に亜陽君が愛の言葉と共に私にキスをしてくれること。
付き合い始めは頬キスだったけど、何時しか唇に触れる程度のキスをしてくれるようになり、より恋人感が増していった気がする。
亜陽君の細くて長い指が私の頬を伝い、顎を軽く持ち上げる。
強制的に合わせられた視線の先に映るのは、亜陽君の中性的な美形顔。
お母さんがフランス人の血を引くハーフなので、亜陽君の瞳はうっすら青みがかかっている。
目もくっきり二重で鼻が高く、日本人離れした堀の深さと透き通った色白の肌と相まり、息を飲む美しさ。
出来ることなら、こうしてずっと見続けたい私の気持ちを知ってか知らずか。
亜陽君は一瞬口元を緩ませると、直ぐに私の唇に自分の唇を重ねてくる。
時間にしてみればほんの数秒間なのだろうけど、この時だけは感覚が狂って長く感じる。
それ程に亜陽君とのキスは何回しても特別で、とても甘くて、この一時が私にとって一日の最大の幸せとなっていた。
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