在りし日の街道インタビュー
藍色の星 みり
インタビュー
今回は、あなたにインタビューしたいと思います。
「えー…めんどくさい。」
あなたは今、幸せですか?
「なんですかその怪しい宗教みたいな切り出し方は…、幸せか幸せじゃないかで言えば後者です。」
なるほど、それはどうして?
「ズバズバ聞いてくるんですね…まあいいでしょう。僕は今全てを失ったような感覚があります。これまで持ってた人との関係、そして生きる理由、意味、将来自分がなにをしたいのか、なにになりたいのか、なにもかも無いんです。」
ちょっと詳しく聞きたいですね。
「昔彼女が居たんです、愛していて、ずっと一緒に居たくて、大変なことがあったら支えてあげて、守ってあげて、一生をかけて傍に居たいと思える人が居たんです。もう今となっては手の届かない場所にいるんですがね。」
一体、その彼女さんと何があったんですか?
「詳しくは言えません…ですが少しだけなら。僕は今高三で、学年が上がったばっかりの頃、周りの人と馴染めず精神を壊してしまいました。どうやらその影響が彼女に対しても出ていたんでしょうね。だんだん怖いと思われて、最終的に別れることになってしまいました。」
そんなことが…
「もう約半年前の話になります。そのことも生きる理由を失った原因の一つですが、また別のものもあるんですよ。これに関しては語りません、語ると長くなります。」
そうですか、色々あったんですね。
最近、あったことを教えてください。
「最近あったこと…ですか。また暗くなってしまいますが、それまで仲が良かった人とトラブルを起こしてしまいまして。結果、その人と関わりを断って離れることになってしまったんです。」
そういうことも、ありますよね。
「もう…そうするしかなかったと自分でも思っています。でも、でも…」
でも…?
「それが原因で、これまで仲良くしてくれてた何人もの人と関わりがなくなってしまいました。そして一ヶ月も楽しみにしてたイベントも…すいません、このことを思い出すと悲しくて」
…ゆっくりで大丈夫ですよ。
「ありがとうございます…最近よく考えていることなんですが。」
聞きましょう。
「人を信用する、信じることってとても怖いことなんです。この人なら素を出せる、ありのままで居られるって思っててもずっと一緒に居られる訳ではない、いつかは離れていく、裏切っていくんです。人の心が、流動的である限りはね、だから誰とも関わらず1人でひっそり、誰とも関わらず生きてた方が楽なんじゃないかって、そう思うんです。」
でも人間一人では生きて行けませんよね。
「…そんなの分かってます、1人で縋る相手も居ないようなそんな生活…いつかは壊れるって…分かってます…でも…。」
これまで、辛かったですね。
「もう…嫌なんです、頑張って生きるのが、生きてる以上、前を向いてあるて行かなきゃ行けない、でも、なんのために歩いているのか、もうわかんないんです、いっその事死んでしまったほうがいいんじゃないかって…。」
…生きていたらきっと、見つけられますよ、良い出来事と悪い出来事を繰り返しながら生きていくのが人生ですから。
「…もう昔仲が良かった人と話す機会も無くなって、誰とも関わりが持てなくなって、自分なんかがここにいても何も分からないんじゃ無いかって、もう消えた方がいいんじゃないかって…」
これまで楽しいこと、辛いことたくさんあったでしょう、そして今は辛いことがたくさんあって、何も見えなくなってることでしょう、でもあなたのことを認めてくれる人が、この先きっと居るでしょう、それまで希望を持ってとは言いません、ですが今我慢しただけ、未来で幸せが待っていることでしょう。
「なんだか少しだけ、気分が楽になったような気がします。」
それなら良かったです、これでインタビューは終わりです、ありがとうございました。
「はい、ありがとうございました。」
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インタビューを終えた後、彼は少し悲しげな、でもどこか光を見出したかのような、そんな気配を出しながら去っていった、彼のその先に待っているのは苦痛かもしれない、楽しいことなんてないのかもしれない、でもいつか幸せな未来が彼を救ってくれることを、願うばかりだ。
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