第23話 リンとの再会
「セシル 久しぶりね」
「リン 久しぶり先日はごめんなさい
今日は招待してくれてありがとう」
セシルはあのお茶会の事件があって以降お茶会に参加できず、アカデミー時代に仲が良かったリン・ロー伯爵令嬢のお茶会にも参加できなかったのだが領地に戻る前に会いたいと彼女から招待され今日はリンの邸に一泊の予定で遊びに来たのであった
「何を言ってるのセシル あなたは被害者じゃない
何一つ悪いことなんてないのだから謝ったりしないで
あ・・・でもそうね・・・婚約のことはびっくりしたしあなたから聞く前に他のところから聞いたことについては謝ってほしいかしら」
とリンがいたずらっぽく笑いながらはなす
リンは黒髪に漆黒の瞳 少しブラウンのかかった肌にスレンダーな体系の神秘的な美女だ
彼女の家系はもともと東方のジュシス王国の出身なのでリンのお父様とお兄様そしてお母さまもジュシス王国の出身なのでみんな同じ髪色 瞳 肌色である
「ごめんなさいとっても急なお話だったの」
と今回の縁談のいきさつをリンに話した
「王命で辺境伯家と伯爵家の縁談をそんなに急いでまとめようなんてよっぽどユリウス様の存在が王家としては脅威的な存在なのかしら・・・
まあわからなくもないけれど・・・」
「そうよね・・・それしか考えられない」
「そんなことより肝心のユリウス様とはうまくいってるの?」
「え? ああ何とかうまくというか話しする時間は作ってくれてるし優しい人だとは思う・・・ 感情をうまく出せないみたいだけど優しい人」
「ユリウス様がお話するなんて!すごいじゃないセシル」
「でも・・・・実は・・・・愛さなくてもいいって言われていて」
「へ? どういうこと愛さないじゃなくて愛さなくていいって?
まあどちらにしても何言ってんの!っていいたいけどね 」
「でもね、私はあなたのこと気に入ってるから覚悟して!って言い返したの」
「きゃはははは!なにそれ!セシル最高なんだけど
やっぱりセシルあなた最高!その調子でユリウス様を陥落すればいいわ」
「もう!リン他人事だと思って・・・ でもねおこがましいかもしれないけど本当にユリウス様の婚約者として・・・妻として力になれればと思うの
完璧な人だけど不器用な方なのよ」
「ふーん・・・セシルらしいね いつも人のことばかり優先して・・・
でももっと自分のことを大切にしてあげなよ」
「リン・・・ありがとう
ところでリンの方こそ婚約者のジュリアス様とは仲良くしているの? 」
「ああ、相変わらず仲良くしているよ とは言ってもアカデミー卒業後は国に帰っているからなかなか会えないけど毎日通信機で顔を合わせているからね」
リンの婚約者 ジュリアス・アレキサンドライトはアレキサンドライト帝国の王子だ
アカデミー時代二人は大恋愛の上周囲の反対を受けながらも二人で両方の両親だけでなく国の議会まで説得し婚約までこぎつけたのであった
どうしてそこまで反対されたかというとアレキサンドライト帝国は獣人の国
ジュリアス・アレキサンドライトは王家の血筋である狼の獣人だったからである
今のアレキサンドライト帝国の国王はジュリアスの父ロバートであるが実はロバートには優秀な兄がいた
彼はシルワース王国のアカデミーに留学していた
その時に出会った女生徒と恋におちたのだが彼女の父親に強く交際を反対されていた
獣人だと言う理由で…..
ある日彼女と出かけたときに彼は事故で亡くなってしまったのだ
そういったこともありジュリアスも留学することも反対されリンとの交際も反対されていたのであったのだが二人の熱意が国王に通じて
とうとう先日結婚の許しをもらえたのであった
「でも実は今また大変なことになっているの・・・・」
「え?どうしたの」
「先日同盟国会議でいくつかの国が集まった時にのレセプションパーティーでシトエ王子がジュリアスのことを馬鹿にしたような態度をとってしまってね
その謝罪のことでもめていて・・・戦争にでもなりえない話になってしまっているの」
「戦争・・・一体何をしたらそんなことになるの」
「ジュリアスがパーティーで食事をとろうしたら食べ物にお前の蒼い毛が入るといったの」
「そんなひどいことを・・・・」
彼等は獣人といっても我々と耳の部分とあと尻尾があるということ以外はあまり違いがない
「どうしてそんなことが言えるのか・・・私にも不思議だわ」
そういいながら少しうつむいた彼女の瞳から少し小さな涙が落ちたのであった
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