第78話 4番目の仮面
帝都で暮らしはじめてもう、3ヶ月ちかくなる店舗がならぶ表通りの細い路地をとおりぬけ坂道を上がった場所にある3階立てのアパートの3階にすんでいる
今の俺の仮面は、ラリス・ラーセル
アッサム領出身の田舎の男爵家の3男坊という身分と皇宮の事務員という仕事を用意してもらい皇宮に潜入中だ
髪色も瞳の色もブラウン、黒縁メガネをかけている地味なおとなしい男
それが、おれの4番目の仮面の男だ
昼間は、皇宮の中で事務員という肩書きで諜報活動をしている
冬の朝は、凍りつく程寒い
今朝も正に洗面所の水栓のハンドルが、凍りついていて動かない
蛇口にタオルをまいてゆっくりぬるま湯をかけてとかしていく
静かな部屋に俺が作業する音だけが、響いている
ブルーもホクトも、それぞれに俺の指示のもと動いてもらっているので、今は、マシロとふたりでくらしている
皇宮にいく支度を終え、下宿の階段を降りていく
2階に住むジムが、新聞配達を終えて自分の部屋に戻ってきた
ジムは、13歳 母親のエリサと父親のビルとの3人暮らしだった
先月からビルが、出稼ぎにでていて今は、エリサと二人暮しだ
「ジム、おはよう 寒いのにえらいな」
「おはようラリスさん
父さんも、金鉱で頑張っているし・・・俺もがんばらなきゃ」
頬は、勿論 顔中赤くしてジムがこたえる
「金鉱? ジムのお父さんは、金鉱に出稼ぎに行っているのか? 」
「そうだよ
すごい稼ぎになるからってこの辺に住むおとなは、みんな行ったよ」
「そうなのか
ジム早く部屋に入って暖まれ風邪ひくぞ
そうだ、これは、お母さんと食べな」
と丁度ジムに渡そうと思っていた紙袋に入れたバンを渡した。
「わぁー!ありがとうラリスさんいつもありがとう」
「お母さんによろしくな」
「はい、行ってらっしゃい」
階段をおり、皇宮へと急いだ
金鉱、一体どこだ
今まで皇宮の一番深い部分で仕事をしていたのになぜ、そんな話が聞こえなかったんだ
ここではないもっと底のほうで広がり浸食されているのか
その夜から、作業着をきて酒場にひとり入りびたる
きっとこうしていたら、そいつが、声をかけるはずだ
10日めの夜のことだ
「よお、お兄さん儲け話あるがのるかい?」
痩せこけた顔に色黒な酒くさい男が、近寄ってきた
よし、食いついた
「なんだよ、やばすぎる仕事ならごめんだぜ」
「大丈夫さ、兄さん気がついたときにはすべて終わってる 楽な仕事だぜ」
そういうのが一番やばい仕事なんだよと思いながら
「その仕事引き受けるのはどこに行きゃいいんだ」
3日後、夜中半時(0時45分)に噴水広場12時の方向裏側路地だ」
翌日上司に休暇を申し出た
「申し訳ございません
急に実家に帰らないといけなくなりましたのでしばらくお休み頂きたいのですが」と申し出た
「どうした、ラリス君、見合いでもあるのか」
「え?どうしておわかりになったのですか? 部長には隠し事できないな」
「ハハハ!君もそろそろかと思っていたところだ ゆっくり相手の方との仲を深めるといい」
なんと、1週間の希望にあっさりOKをもらった
休みの理由が思い浮かばないまま上司に休みを申し出したが、見合いを理由として切り出してきたことにおどろいた
ここは、やはりどこかおかしい
約束の時間にいくと、古い荷馬車が2台止まっていた。
もう既に、荷馬車には、詰め込むように男達が乗っていた
「兄ちゃん、もうこれ以上は、乗れないよ
後ろの馬車に乗りな」
そう、促され後ろの馬車にも行くがこの馬車も、もう乗れない状態だ
一体、どこからこんなに人を集めたんだ
予定を変更して、馬車に乗らずつけて行くことにした
ひとけのない場所で、黒装束を纏い風にのり闇夜に潜んで、時間がくるのを待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます