第4話 社会人になった僕ら

 時は過ぎ、俺たちは社会人になった。まだ二年目で、こき使われる毎日。もう稀一とは連絡すら取ってない。最後に会ったのは三年前の成人式だ。会ったと言っても見かけただけで、会ったとも言えないな。もう俺は稀一の視界に入ることすらできないんだ。酷く恐ろしく虚しかった。


「今日から仲間になる会津君です。会津君、自己紹介どうぞ。」


「会津稀一です。皆さんこれからよろしくお願いします。」


 どよめきと歓声が渦巻く。ああ、稀一が転校してきた時と同じだなぁ。ん?ちょっとまて?会津稀一と言ったか?スタスタと、こちらに歩いて来る姿は紛れもなく稀一だった。


「久しぶり。深宙。会いたかったよ。」


「俺は…………。」


 会いたくなかったと言えば嘘になる。俺には、押し黙ることしか出来なかった。

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