第48話 あーしは湊(みなと)アリシア、趣味は命とお金の取引だよ

栗雛霧谷side

「……」

「……」


 栗雛の質問に対して、空気が変わる様子なくアリシアは笑顔で見ていた。


「ねえねえ、栗雛君、取引しない?」


 アリシアが笑顔で栗雛の瞳を見て言う。


(取引?)


 栗雛はハテナマークを浮かべる。


「取引は栗雛君の命とお金だよ」

「!?」


 不意にアリシアに栗雛に近付かいて来る。


「栗雛君の命とお金を出してくれれば、あーしの年齢を教えて上げるよ」

 

 アリシアは笑顔で栗雛の瞳を見る。


「(それなら、やめておきます)」


 栗雛はアリシアを見て手話で断る。


「ダメだよ。あーしが栗雛君の命とお金が欲しいから今すぐに取引したいの!」

「!?」


 アリシアは栗雛の両肩を力強く掴み始める。


「(取引しません!)」


 栗雛は手話でアリシアに伝える。


「!!」


 アリシアが掴んでいる栗雛の両肩に力が入り始める。


「あーしは凪ちゃん程、握力はないけど栗雛君を痛め付ける程度の加減は出来るからね」


 アリシアは作り笑顔で栗雛に説明する。


(めちゃくちゃ痛い)


 栗雛は痛みをこらえ始める。


「ちなみにあーしの握力は両手どちらも100kgだよ」

(女性の握力じゃないだろ!というか握力強すぎだろ)


 栗雛は痛みをこらえながら心の中で突っ込む。

 

「後どうでも良い情報だけど、凪ちゃんは握力をカンストしている見たいだから、怒らせないように気をつけてね」


(朝の点呼で凪さん怒らせたな)


「さあて、改めて取引だよ」


 アリシアは大きく目を開いて栗雛の瞳を見る。


「!!」


 アリシアの大きく見開いた瞳を見て栗雛は驚く。


「今すぐ栗雛君の命とお金を頂戴」

「!!?」


 栗雛の両肩がメキメキと音がなり始める。


「早く取引しないとあーしの両手ちゃんが栗雛君の肩を握り潰しちゃうよ」


 アリシアは栗雛の両肩を掴んでいる手の力を強めていく。


「[取引しません!]」


 栗雛は痛みを堪えながらアリシアの瞳を見て口をパクパクする。


「取引を断るならこのまま首を掴んでへし折ることも出来るんだよ」

「!!」


 アリシアは栗雛の耳元でささやくように言う。


「[お金もないし、命は絶対上げれません!]」


 栗雛は必死に口をパクパクしてアリシアに伝える。


「何だお金ないんだ……」

「!?」


 栗雛の両肩のアリシアの掴んでいる手が離れる。


(助かったのかな?)


 栗雛はアリシアを見る。


「金のないガキは命を奪ってもつまらないからな」


 アリシアは栗雛に興味がなくなった様子になる。


(どうやら僕の興味を失ったから助かったな)


「!?」


 栗雛はほっとした表情をした瞬間に不意にアリシアは耳元に近づいて来て言葉にする。


「あーしの年齢は38才だよ」

(え?)


 アリシアは不意に栗雛の耳元で年齢を言葉にする。













「あーしの年齢を教えたから3年後に卒業したら改めて命とお金の取引をしようかな」


 アリシアは呆けた笑みで栗雛の耳元で言った。



 

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