第54話 3着のナイショのドレス

 カトリーヌが数枚のデザイン画を手にして部屋からでてきた

「美しいおふたりを目の前にして心が高まりましたわ」

 と10数枚のデザイン画をテーブルに広げた

 セラが「うむ」と片手を口元におきながらデザイン画をじっくり見てから

「僕は、決めたよ アリス、では、君が気に入ったものを2つ選んでみて」

 と私に聞いてきた


「2つ?」幾つか選んで1つにきめるのかと思い1つは、白いドレスに薄いピンクのオーガンジーに銀糸で刺繍を施してるもの

 もう一つは

 肩が少しでているがスリムなスタイリッシュなデザインのものを選んだ


「うん、いいね 僕も同じ意見だ カトリーヌ ただこの刺繍銀糸だけではなく金糸も少し加えて施してくれないか」

 とオーガンジーの衣装のものをカトリーヌに差し出したあと

「このスタイリッシュなデザインのドレス1枚とタキシードは急で申し訳ないが、6日後にアリスと他国に所用で出かける際必要なので至急作ってもらえないか」


「え! では、4日くらいで仕上げろと……」

 と、驚くカトリーヌ


 そしてセラは、立ち上がり少し離れた所でふたりで話だした

 カトリーヌは、ニコニコしながら

 私と私の優秀なスタッフにお任せくださいと戻ってきた


 他国へ所用? 聞いていない……けど

  その後もお義母様達の意見の折り込まれたドレスや私の普段仕様のワンピース

 お義母様達もそれぞれにドレスの注文をしたので益々カトリーヌの顔は、緩んでいた

 そして、カレンもしっかりと自分の持ち込んだ宝石の試作品で、お義母様たちだけでなくカトリーヌからも注文をゲットしていた


「カレンは、凄い! 商業ギルドも順調だし領地も順調!本当にすごいわ」


「そうね、お話も上手だからついつい引き寄せられちゃうわ」とおば様達も褒めていた


「ありがとうございます アリスまた、よかったら私のやり方になるけど分かりやすい帳簿のつけ方も教えてあげるわ 実はクレア達にも教えてあげたんだけど 結構好評なの」


「ありがとう また、楽しみが増えたわ

 カレン、婚約式の招待状おくるから是非ジョンと出席してね」


「もちろんよ、アリス体に気をつけてね」


「カレンも……」


 カレンとそう言って 私とセラは、来る時と同じように転移魔法で帰ろうとした

 セラの手を取ろうとしたら

 ひょいとまた、抱きかかえられた

「もう、また……」

 私は恥ずかしくて赤くなった顔を両手で隠した

 セラは、ニコニコしている


「ふふふ、アリス愛されてるね」

 そうカレンに冷かされながらカレンと別れた


 キャラウェイ公爵家に帰るなり

「急に他国にいくって決まったの?」

 とセラにさっきから気になっていた事を聞いてみた


「ああ、さっきフェリックスに呼ばれたのはその話だったんだ

 君に話するタイミングが無かったからあんな形になってすまない 驚いただろう」


「びっくりしたけど、確かに話をゆっくりできる時間が無かったもの」


「実は、君のお母様の賠償金の件で ウィリアム、フェリックスそして僕達ふたりでアズールレーン王国へ謝罪をかねて訪問することになったんだ

 まあ、君をあちらの前国王夫妻つまり、おじい様とおばあ様にもずっと会わせてあげたいと思っていたしね」


「お母様のふるさとの家族……」


「そう、ほら俺は何度か仕事で訪問しているわけだし、賠償金の話をするのに一緒に報告するのもどうかと思うけど婚約の報告もご挨拶も改めてしたいしね

  君の家族でもあるんだから

 急に決まったことだからあちらでの舞踏会用に1枚……

 あとは今持っているものでなんとか間に合わせるしかないかな」


「あの……実は持っているドレスがウィリアムから昔プレゼントしてもらったドレスで……」


「うーん……あのね、実は君に渡せなかったんだが……

 きみがアカデミーに入った年から交流会の時期にあわせてドレスを作っていたのだが……

 そのドレスをサイズを少し直したり君の好きなようにヴィユンティ公爵家のお針子達に直してもらうのはどうだろう

 今から新しいドレスを作るにしても出発まで間に合わないからね」


「え? あのパートナー断られた時から?」


「実は、本当は、僕から申し込むつもりでドレス用意していたんだけど……

 アイリーンのパートナーを先にお願いされて断れなかったり

 まあ、どちらにしても参加出来なかったわけで……

 ついつい、卒業式のパーティー用もあわせて3着あるんだけど……

 結局全部渡せずにいて……

 ああっ! ずっと内緒にしようと思っていたのに…… 」

 とめちゃくちゃ恥ずかしそうにしている


 ああ、この人はきっと今回の事が無ければずっと3着のドレスの事を私に言わなかったかもしれない……

 ずっと今まで心に秘めながら私の事を想いながら支えてくれていたのかと思うとこの人の事を愛おしいと思わずには、いられないのだ


「セラ様……ありがとう!すごく嬉しい……

 もっと早く教えてよ アズールレーン王国のおじい様たちのこともありがとう

 私も気になっていたから嬉しい

 それにしてもカトリーヌには無理なお願いしてしまったわ」


「ああ、本当に申し訳ないよね まあその分お礼を約束しておいたから大丈夫だよ」

 と私の頬にキスをした


 あとから聞いた話によるとカトリーヌとスタッフにそれぞれボーナスと作業にかかる日程の間、カトリーヌの店の近くのレストランで彼女達が食事できるようセラが全て用意してくれていたそうで、カトリーヌもスタッフも逆に凄く喜んだくれたそう


 ドレスが完成し、試着した時カトリーヌが

「ドレスをお選びなる姿を見て私まで幸せな気持ちになりました

 本当にお互いを気遣いされる素敵なおふたりですね」

 と褒めてくれたのが何よりも嬉しかった

「私達こそ、本当に感謝しています」

 カトリーヌ達がひと針ひと針想いを込めて縫い上げてくれたドレスに袖を通しながら胸が熱くなった


 そして、セラが私に渡せなかったドレスもヴィユンティ公爵家のお針子さん達の手によって素敵にお直ししてもらいました

 1着目はピンク色の可愛いドレス パッと花が咲いたような可愛らしいデザインのドレス

 2着目はエメラルドグリーンのドレス 刺繍と腰から足元にかけてのドレープが美しい

 3着は瑠璃色のドレス 星空のようなドレス 瑠璃色の夜空に星が落ちていくような刺繍と小さな宝石が散りばめられていた

 いつ、どんな思いで彼はこのドレスを作っていたのかが、心に伝わってくる3着のドレス


「セラ様、3着とも本当に素敵 ありがとう」

 と私の方から彼を抱きしめてセラの頬にキスをした


 初めての交流会で本当は、セラから申し込むつもりでいてくれた事が今の私にはすごく嬉しいことだった


 あの頃の私は、セラの事はお兄様としか思っていなかったかもしれないから彼への気持ちの変化が自分でも不思議でくすぐったいものに感じられたのである

 でも、私達は小さな積み重ねの時間があったからこそ

 お互いの気持ちに気が付き、深くお互いに寄り添えたのかもしれない

 と改めて思えたのである

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