第51話 父の気持ち
父上が反対するのも無理はない
爵位と領地を与えられたとは言っても
爵位は子爵……それなのに与えられた領地は元バルスーン公爵領だ
あの事件の後、フェリックスが自ら領地に入り2年の間で後始末はしたといえどまだまだ不安要素はいっぱい残っている
第一、爵位と領地の広さが釣り合っていない
まあ、だからいずれはテリウスと領地を分けるのかもしれないけど、
しばらくは、テリウスとも情報共有しながらお互い協力しないといけない
「一体、ウィリアムとフェリックスあいつらは何を考えているんだ」
思わず独り言が声に出てしまった
「どうしたの? セラ? ウィリアムとフェリックスがおかしいのは、今さらだよ 私なんて……」
とアリスがしまった! という表情をして言うのをやめた
「アリス? どうした? 何があった」
「な、何もないし、されてないし……」
と顔を背ける
「こら、隠し事はいけないぞ」と
腕を引くと思いがけず唇が触れそうなくらいアリスの顔が近づいた……
「ごほん!」と父上の大きな咳払いが後ろから聞こえた
思わず パッと手を離して顔が熱くなった
「そんな、ところで突っ立てると入れんだろう、さっさと入れ」
父上の隣で母上がクスクス笑っている
誰に見られるより、親にこういう所を見られるほど恥ずかしいものはない
「おはようございます、父上、母上」
「おはようございます」
アリスは、昨日から父と母の事をどう呼んでいいかと悩んでるようで少しぎこちない
可哀想に早くなんとかしてあげたいと思う気持ちが大きいのだが……しゅんとしているアリスもしょげたうさぎのようで可愛い……とチラッと思ってしまった
朝食をとりながらいきなり父上が
「昨晩、シュリティとキャラウェイ公爵と話をした……
お前達は、一度王都に帰れ 1ヶ月後に婚約式だ 」
「え?」
「え?じゃなかろう、セラ 貴様叙爵式も辞退しただろう……
親の知らぬ間に何をしとる」
「派手な事と堅苦しい事は苦手なんですよ」
「何を言っとる ! 今までは社交も大目に見てきたが、これからは領主なんだぞ 」
「だから、今まで断ってきたのに……魔塔に入ったのも……」
「そういえば、今まで着飾った所なんて見た事ない」
と大きな目をクリクリしながらアリスが見つめてくる
うっ…… 可愛い……
「わかっています、わかりました」
「セラは、シュリティの所でアリスはキャラウェイ公爵の所で支度をしてもらいなさい
公爵夫人は、いつでもアリスが幸せに旅立っていけるようにずっとご準備してくださっていたそうよ」
母上が優しく語りかける
「おば様が……」
「セラが王宮でちゃんと叙爵式をうけたあと1ヶ月後に王都の邸宅で婚約式
その後この邸でも、皆にお披露目じゃ!」
父上がそういうと使用人達が拍手した
「若様、姫様おめでとうございます」
パッとここに寄ってから領地にいくつもりが大変な事になってしまった……
でも、隣ではアリスが少し目を潤ませながらニコニコしている……から良いかな
シドが
「さあ、皆さん忙しくなりますよ!」
と檄を飛ばすと、使用人達も元気に返事をする
相変わらず素晴らしいチームワークである
その後、父上に呼ばれ執務室へといく
「セラ、バルスーン公爵領地を引き継ぐというのは簡単な事ではない事はお前もわかっているであろう」
「もちろんです、この2年間あの地の後始末をフェリックスとテリウスとしてきたわけですし、国中回って魔物と瘴気も片付けに行って…… 」
「まあ、お前達はともかくワシの心配しておるのはアリスの事だ……
あの子は今まで苦労してきた子だ
本当は大変な道だとわかっている道などには進ませたく無かった
あの子が、はじめて来た日 泣き崩れるシェリーの手を握りしめるあの子の姿が忘れられんのだ……
でも、その反面アリスがワシの愛する息子を選んでくれたのは本当に嬉しく思ってしまう自分もいるのだ」
父上の目が潤んでいる
「私が必ず彼女を幸せにします
ふたりで幸せになります」
と父上に宣言した
父上は大きく頷きながら
「ふー、実はなキャラウェイ公爵がお前ならアリスを任せられると、言われてな……
ずっとお前がアリスを守り続けていた姿をみていたから
おまえなら大丈夫だとワシがキャラウェイ公爵に説得された」
ハハハと父上が少し苦い顔で笑う
「ありがたいことです……」
「ウィリアムもな、何度も求婚にも来ておったらしい もちろんアリスにもな……
まあ当然だろうな しかし…… まさか、王妃の座を蹴ってアリスがお前を選ぶとはな 」
「父上…… 酷すぎです」
まあ、王妃と子爵夫人 しかも苦労が見えている子爵夫人……
「普通は、子爵夫人より王妃の座を選ぶだろう
しかしな、やはりそういう所がアリスなのだろうな
セラ必ず幸せにふたりでなるんだぞ
しかし、おじと甥で同じ女性を……とはな
ハハハ」と父上は最後はいつものように笑っていた
「はい、父上」
次の日父上と母上と一緒に王都へと向かっていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます