第47話 帰宅

 次の日、ミラー辺境伯家を訪ねると安全のため転送魔術で王都のキャラウェイ公爵家に帰るということで4人の魔法使いが魔塔から来ていた

 その中に、セラの姿があった

 他の3人の魔法使いと並びたつセラは無表情で4人は軽く私達に会釈した


 ひとりずつ手を握りしめなければならず私の前にセラが立った

 精霊王様の所で会ったときより、また背が高くなり体も大きくなった気がする


「キャラウェイ公爵令嬢、お手を」

 とセラは大きな手を差し出した


「ありがとうございます」

 と手を添えるとギュッと手を握られた


「一瞬ですが、決して手を離さないでください では目を瞑って……」

 目を瞑っていても体中に風が巻き起こるのを感じた

「もうよろしいですよ 目を開けてください」

 そういうと手を離した

 目を開けるとキャラウェイ公爵家の広間だった

 先程まで目の前にいたお兄様は他の魔法使いと共に姿を消していた



「アリス、おかえり」

 おじ様と、おば様は私を見るなり抱きしめてくれた


「アリス、すまなかったな あと少しだからな」

 とおじ様は泣きながら私に謝ってきてくれる


「ありがとうございます」そう言って抱きしめかえした


「おじ様、私は出来ましたら引き続き薬学の勉強もしたいですし、精霊達もゆっくりできると思うので「私の家」で暮らしたいです」


「アリスがその方が落ちつくならそうしなさい」


「来て早々で申し訳ございませんが、疲れてしまったので家で休ませていただきます」

 そう言って挨拶をし、久しぶりの我が家へと帰って行った


 家の扉を開けるとやはり綺麗に手入れされていた

 窓を開け空気を入れる 2階へとロイが荷物を運んでくれ、私は2階の窓も開け空気をいれた

 下の厨房に入り冷蔵庫を開けると、おじ様はいつ帰ってきても良いように新鮮な食材も用意してくれていた

 シフォンケーキを焼き、生クリームもつくる

「さてお茶もいれましょう」

 と精霊達と話していたらドアをノックする音とともにドアが開いた

 フード付きのマントは手に持っていたが黒い魔法使いの装束のセラが立っていた


「あら、先程はありがとうございます 魔法使い様」


「転送酔いは、大丈夫なようだね

 甘いいい香りがする

 公爵令嬢 私もご馳走になってもよろしいでしょうか?」


「よろしくってよ、魔法使い様」

 お互い顔を見合わせ笑ってしまった

 何故か久しぶりに笑った気がする


「僕達もいつまでも子供ではいられないということさ」

 テーブルにお茶の用意を運びながらセラが私に言った


「わかっていますよ」笑いながらそう返した


「アリスは、この大きな山を乗り越えた後はどうしたいんだい?」


「私は、自分のやりたい事を自分で決めて進んで行きたい

 そしてその時もし一緒に生きていきたいと思う人がいたらその人と一緒に歩いて行きたい」


「そうか…… そう思えるようになってくれて良かった」

 セラは本当に安心したように微笑んだ


 セラと精霊達と楽しく笑顔の中でお茶をした後

「さあ、そろそろ帰らないと抜け出したことが見つかってしまう」


「セラ様……お体に気をつけて」


「アリスこそ、決してひとりで背負うな

  君の後ろには必ず僕はいるから」

 そう言ってセラは スッと姿を消した


 フッと部屋の空気が変わってしまった


「帰る時も、消えずにそのドアから帰ってくれればいいのに……

 急に目の前から消えてしまったら寂しいじゃない…… 」


 我慢したつもりだったけど涙がスっと頬を伝って落ちた






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