第43話 ドラゴンとの出会い

 森が近づいていた

「ロイ、もうすぐあなたの故郷よ 懐かしいね」


「ああ、なんだか変な気持ちになる」


 さっきまで晴れていた空をいきなり分厚い雲が包み込んできた


「アリス、俺の背中に乗れ」


 ロイに言われるがまま背中に乗ると


「振り落とされないように、しっかり掴まっていろ」


 ロイが雪原を思いっきり走っているとワイバーンの群れが空から襲ってきた

 ワイバーンが凄いスピードで降下してきて私達にぶつかった

 ロイと私は、跳ね飛ばされた

 ロイが立ち上がってワイバーンに攻撃した瞬間、攻撃を受けたワイバーンが何かを落とした


「卵?」


 私は、慌てて卵を拾い胸に抱きしめた

 ワイバーン達が一斉に私の方に向かってきた


 その瞬間、黒いフードに黒装束のその人がワイバーンのまえに立ちはだかり剣を抜いた


 剣は、魔法を纏い次々とワイバーンを倒し、生き残ったワイバーンも空高く逃げていった

 黒い魔法使いの装束を纏い鮮やかに剣をふるう

 風に薄いピンク色の髪がなびいている姿は、とても綺麗だった


 少しの間会わなかっただけなのに……

 セラの変貌にアリスは呆然とし、見惚れてしまった


「アリス、ごめん少し間に合わなかった…… 大丈夫か?」


「お兄様…… ありがとう 大丈夫十分間に合っているよ」


「ロイ、頑張ったな」

 お兄様は、そう言いながらロイと私にヒールをかけた


「お兄様、癒しの魔法も?」


「ああ、全属性だからね

 なんでも屋みたいなもんだ」

 と笑うお兄様は、いつものお兄様だ


「それより、アリス……」

 とお兄様が言いかけた時

 ロイが急に「何か来る 」

 と空に向かって唸りだした


 私達の上に黒い大きな影が広がる段々とそれは降りてきて姿を現した


「ふーっ、次はドラゴンか」

 とお兄様は剣を構えた

 ドラゴンは、興奮した様子で降りてきたのだが

 私を見るなり平静にもどり静かに降り立った


「精霊の愛し子か

 我の子をワイバーンから助けてくれたのか」


「あの、助けたというか

 襲われてその時に拾ったんです」


「いやいや、我の子は愛し子に抱かれて喜んでおる

 礼をせねばな……

 それよりそこの魔法使いよ

 剣は、もう収めても良いぞ

 お主にも礼をせねばならんな」


「礼など結構ですよ

 アリスを助けるついでですから」


 セラがそう言うとドラゴンがハハハと笑う


 吹き飛ばされるかと思った……


「ついででもなんでも、我の子を救ってくれたのだ

 それに我はお主を気に入った

 どうだ我の主にならんか

 お主の魔力量 そして独特のオーラ

 しかも面白い精霊を連れてるではないか」


「まだ、魔法使いと言っても駆け出しなので本当は魔導具の研究室に入るつもりだったんですが……」

 となぜかここでお兄様は、愚痴のような悩みの相談をドラゴンに始めた


「それなら、我はますますお買い得だぞ

 魔導具や薬の素材なら山ほどお主らに提供できるからな」


「お兄様! 薬の素材って……」


「アリス……しかも、お買い得って……

 とにかく、魅力的な提案をありがとう

  でも今でなくてもいいか

 私があなたにふさわしいものになってからでもいいなら

 いつになるかわからないが……」


「おお、いいとも 我はいつでもお主を主と思っておるから何かあれば呼ぶとよい」

 そう言ってドラゴンは、お兄様に金色に光る石のついた首飾りを渡した


「愛し子よ、お主の願いは、なんじゃ?」


「あの、ひとつだけ……精霊王様に会いたいんです

 ドラゴンさん知りませんか? 」


「ああ、扉の場所に連れて行ってやろう」

 皆、我の背に乗るが良い

 私達は、ドラゴンの背中に乗るとドラゴンは、優しくフワリと飛び上がった


「お兄様、凄く高くて……ちょっと怖いです」


「大丈夫だよ、しっかり僕につかまっていて  

たとえドラゴンから落ちても地上には落ちないから」とお兄様は普通に話する


 魔法使いの黒装束に身を包み真っ直ぐ前を見るお兄様の横顔をチラッとみた


 やはり、魔塔に行ってから凄く変わったような気がする

 なんだか、違う人のような感覚

 以前のように、思い切り抱きついてはいけなくなってしまった


「ありがとう、やっぱり大丈夫」

 そう言いながらロイの背中を握りしめてしまった


 しばらく飛んでいると渓谷の向こうに草原が広がっていた

 ドラゴンは、そこに降り立った


「愛し子よ ここで祈ると良い するとその指輪が教えてくれよう ところで鍵も持っていような」


「はい、この鍵ですか?」

 あの3つの鍵の最後の鍵をだした

 我は、お主らの用が終わるまでここで待っておる

 ゆるりと精霊王とあってこい

 あやつによろしく伝えてくれ」


「ありがとうございます」

 そうして、私は、草原の真ん中で祈った

 精霊王お会いしたい

 今日こそは、全て話を聞きたい

 私が何者か知りたい……

 懸命に祈った


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