#4
「ここが
施設に着き、1人にしては広い個室に案内される。1人でこれからは暮らす。1年間、1人での生活を満喫して死ぬことが出来るらしい。
「私は愛恋ちゃんの担当看護師。何かあったら呼んでね」
「...」
だから、こういうタイプこそ信じてはいけない。
あからさまに不機嫌になって見せ、そんな私が不服になったのか早瀬
「人を信じて、良い事なんて1つもない」
これが、私の座右の銘。
私は1度、学校でクラスを牛耳っている女子生徒に言われたことがある。
結城愛恋は保健所にいる猫みたいだと。人間を全く信用していない猫のようだと。
その時は珍しくその名前も覚えていない女子生徒に感心の意を示した。いつもクラスで猿のように騒ぐ人たちにも、ちゃんと
その時も私は無視を貫いたが、それが運悪く、しばらくの間は私のあだ名が殺処分待ちの猫になった。
つまり、人間なんて自分含めその程度のものなんだ。
くだらないことで下品な笑いで人を不快にさせ、自分のことしか考えない自己中心的な生物。
だから、私は自分の事も他人のことも大嫌いだ。好きになれるわけがない。
私の趣味はネットで小説を読みまくること。本はどんなことをしても許される世界。地の文で主人公の心情の全てがわかるから面白かった。作者なんて正直どうでもいい。あくまでも、小説は中の人物だけを見れる。それが何とも言えない快感。
きっと、これだけは死ぬまで趣味として貫く。
「愛恋ちゃん、夜ご飯出来たからリビング来て~」
夕食、用意してもらえる世界って本当にあるんだ。
私が家事しなくていいんだ。
でも、自分と味付けは違うと思うし、期待はしないでおこう。一度だけ母が作ったあれは本当に酷かった。だから、ご飯ものに関しては自分の味にだけ期待していた方がいい。
そんなふうに考えながらリビングルームへと出る。
「あ、きたきた。彼女が新入りの結城愛恋ちゃん」
「...よろしくお願いします」
珍しいものを見るような目で私を見てくる同居者たち。老人、親子、同い年くらいの男子。一緒に暮らすことのないはずの人だった。
「愛恋って、何歳?」
「...17」
「へえ。僕の1個下じゃん。僕は
「別に、貴方に興味はないので」
いきなり私を下の名前で呼び捨てするし、聞いてもないのに喋るし。喋らないでほしい。人にコビ売って生きている人間が最低なことくらい知ってるから。自分になびかせて、自分の思い通りにしたいだけでしょ。
「その言い方はなくない?同居者なんだし...」
「自分の事くらい自分でできるので。人を信じていいことなんてないから」
日向愛音は私に怒りの感情を向けていたが、最後の言葉を言って何かを感じ取ったのか、怒りのオーラは消えていた。
「...勝手にしろ」
その後、私は何もしゃべらなかった。食事中にスマホの通知が来ていて、今読んでいる小説の更新通知。ここにいるのも苦痛で仕方なかったから食べ物を掻き込んですぐ部屋へ戻った。
終始、早瀬舞は私のことを見ていた。
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