【Study6:ふやけた海老天ぷらと爽やかなクールミントの香り 】

第19話

【Study6:ふやけた海老天ぷらと爽やかなクールミントの香り】



週明けの月曜日。

週末、焼肉を食べまくってよく寝たあたし達は元気に挨拶をしながらスタッフルームに入室する。


休み明けのせいか、だるそうな先生達が大半。

学会に出かけていて疲れたとか、旅行に出かけたお土産あるよとか

そんな話も聞こえてくる。



「神林さん。早速だけど、今日から症例・・患者さんを担当してもらいますね。」



そんな気怠い空間の中でもあたしのケースバイザーである下柳先生は安定感ありのいい人感が滲み出ている。



『はい。宜しくお願いします。』



絵里奈と長野先生がどうなっているか

気になるけど、気にしていられない


スーパーバイザーの般若岡崎先生がどこにいるのかも

気にしていられない


あたしの進級がかかっているから



「じゃあ、まずは病棟で情報収集だね。行こう。」


『はい。』



あたしは下柳先生と一緒に若干薄暗い階段を昇って、脳神経外科病棟へ向かった。



「2年生ではどこに実習行ってたの?」


『老人保健施設と精神科を1週間ずつ行っていました。』


「そうか。じゃあ、身体障害分野や病院はここが初めて?」


『そうなんです。』



顎に手を当てて、難しそうな顔をした下柳先生だったけれど、脳神経外科病棟のナースステーションに到着してからの彼は前を向いて口を軽くきゅっと結んだ。


その時の彼から感じられた集中しようという空気。

あたしもそれに釣られて、肩に力が入った。



「これが今日から担当してもらう前島さんのカルテ。あと、ついでにMRI画像も診ておこうか。」



MRI画像・・・


解剖学の授業で脳画像を見た覚えはあるけれど、

それをみて、どんな状態なのかまでは学校では教わっていない

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