【Study5:地獄と地獄のフィフティー・フィフティー】
第16話
【Study5:地獄と地獄のフィフティー・フィフティー】
臨床実習5日目の金曜日は
絵里奈の朝ごはんの食パンにいちごジャムをたくさん塗ってあげるというちょっとイイコトをしたせいか、なぜか平和に過ごせた。
リハビリ見学と患者さんとの会話を特に問題なくこなせたし。
そして翌日の土曜日
この病院は土日外来診察がお休み。
リハビリは入院患者さんのために午前中だけやっている。
そのため、土曜午後と日曜日はあたし達実習生もお休みなのだ。
ついでにこの病院。
総合病院と呼ばれる病院で、ここにくればどの病気にも対応してくれるような大きな病院。
救急車のサイレン音も頻繁に聞こえてくる。
リハビリをする患者さん
いろいろな患者さんがいる
脳の血管が詰まったり、破裂したりするなど脳の病気によって手足に麻痺が起きてしまったり、記憶機能低下や感情コントロールが難しくなるなどの脳血管障害
骨折や捻挫などの怪我や腰痛、交通事故などによる脊髄損傷などの整形外科疾患
心臓や肺の手術後、体力や筋力を回復するためのリハビリをしている人もいる
「僕は主に脳血管障害の患者さんを診ているんだ。岡崎先生は手の怪我などを扱う手の外科専属。松浦先生もそう。」
『だからなんですね。岡崎先生は手を診ていることが多いのは。』
「そう。でも、専門性の高いこの病院だから、作業療法士も専門的に従事できるけれど、なかなかこういう病院は少ない。だから、この病院では、1症例は手の外科症例、もう1症例は脳血管障害症例を担当してもらうようにしているんだ。学生さんは大変だけどね。」
学生みんながこの病院のように大きくて専門性の高い病院で実習できるワケじゃない
学生指導という手間のかかる実習を引き受けて下さる病院、施設は多くないらしいから
だから実習地が遠隔地という学生も少なくない
実際に友人の綾乃は広島へ行っている。
「患者さんもいろんな人がいるから大変だろうけど頑張ろう。来週から評価実習してもらうからね。」
『はい!』
臨床実習第1週目の最終日。
下柳先生の頑張ろうねの一言にようやくあたしは力強く返事をすることができた。
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