事故星女（ハッピーエンド編）

第1話 報道カメラマン

　事故星とは、生まれつき事故に遭いやすい星のことを言います。

　昔から中国にある占いの四柱推命でも、ごくまれにしかないこの星の下に生れると、事故に遭いやすい運命を持ってしまうと言われています。

　そんな事故星を持った人の傍（そば）にいれば、必ず事故を目撃できると言われています。しかし場合によっては、事故に巻き込まれることもあります。

　私、川畑 撮夫（とるお）は新聞社の報道カメラマンで、私が勤務している「福岡毎日日新聞」の本社は福岡の天神にある。

　そのため、私の取材対象は主に九州管内で、それも福岡県内の事故や事件が主たる取材対象になる。

　私はそんな仕事をしている関係上、休みの日でも画素数が大きな動画も撮れるデジタルカメラを常に携行している。

　私が最近偶然に遭遇（そうぐう）した事故は、病院にタクシーが突っ込んだ事故と逆走した車がバスに衝突した事故だった。

　病院の事故の時、私はたまたま健康診断のため、その病院を訪れていた。

「ガシャン」という大きな音に、「交通事故」だと直感した私は、胸部のレントゲン検査の列から離れ、バックからカメラを取り出して現場に行った。

　私は病院の玄関に突っ込んで大破しているタクシーや手当てを受けている被害者の写真を撮った。そして私は、残っている健康診断の項目を次の週に先送りにしてもらい、すぐに社に帰った。

　私が撮った写真は、その日の夕刊に間に合い、他社が翌日の朝刊でしか報道できなかった事故を夕刊に写真付きでいち早く報道することができた。