第6話



瑛二くんに連れられるまま建物の中に足を踏み入れると、ガヤガヤとしていた空気が一瞬で静かになった。



一斉に視線を浴びて少し気まずさはあるけれど、不思議と怖さは感じない。



幹部だという瑛二くんが緩い感じだったから、少し気が抜けたのもあるかもしれない。


だけど一番の理由は、何だかここにいる人たちの雰囲気がヒロくんの高校時代の友達と似たものを感じるからだと思う。




うん、多分大丈夫。早く話を終わらせて帰ろう。




「瑛二くん、腕どけて」


「えー、何で」


「みんな見てるし、重い」


「つれねえな」



瑛二くんは私の肩を解放すると、



「じゃ、俺もう寝る時間だから行くわ」



そう言ってスタスタと2階に上がって消えてしまった。



あれ、ケーキ一緒に食べないの?



「寝るって、まだ17時半だよ。赤ちゃんなの?」



「瑛二さんは夜型なんだよ」



「ふうん」




大和は瑛二くんが消えた2階へと私を案内し、ある部屋のドアをノックして開けた。



「連れて来ました」




部屋の中には、中央のローテーブルを囲むように黒い革張りのソファーが配置されていて、そこには3人の男が座っていた。



それぞれ着こなしは違うけれど、みんな大和と同じく制服を着ていて、瑛二くんと違って同年代であることは訊かなくてもわかった。




可愛い顔をしている小柄な赤髪くんは、シャツの上に黒いパーカーを着ている。



ソファーに片足をあげている目付きの悪い金色の短髪くんは、シャツは羽織るだけのスタイルで、ピアスやネックレスなどアクセサリーが好きらしい。



そして、奥の1人がけソファーに座る黒髪の男は、髪色といい制服の着方といい、見た目は一番普通なはずなのに、1人だけオーラが違っていた。




この中で最も不良らしくないのに、最も冷たく危険な雰囲気を醸し出している。



綺麗に整った顔付きで、切れ長の目は私の方に向いてはいるのに、何も映していないように見えた。




「じゃ、俺はこれで」


大和は地べたに置き去りにしたはずのスマホを私に押し付けると、他3人に礼儀正しく会釈をして出て行った。



取り残された私は、目の前の3人の視線を一身に浴びる。



瑛二くんでも大和でもいいから、一緒にいて欲しかった。


黒髪の彼の纏う空気は、何か違う。




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