第3話

▼▼▼



見知らぬ人のスマホを拾ってから1日経ち、時刻は17時。



私は公園で再び困っていた。




「あんたがハルさんの携帯拾った人?」



約束の時間に現れて声をかけてきたのは、口調からして昨日の電話の人じゃないし、持ち主でもないらしい。



「貴方は?」



「竜樹さんの弟子」



「え、竜樹さんって誰」



「昨日、電話で話したんじゃないの?」



「あぁ、あの人」



弟子って何?職人、とかかな?

綾高の制服着てるから高校生のはずだけど。



「あの、何の職人さん?」



「…は?」



「…………」



「…とりあえず、あの車に乗って」



そう言ってお弟子さんが指差す先には黒い車が停まっていて、私は一歩後退りをした。



知らない人の車には乗らない。


小学生、いや今時幼稚園児でも教育されてる。



「いや、これ渡すだけだから。どうぞ」



拾ったスマホを差し出しているというのに、相手は首を振る。



何かの手違い?でも、確かにスマホを拾った人かと訊かれたし、昨日の約束の件でやって来た人には間違いないはずだけど。困った。




「連れて来いって言われてるんだ。頼むから一緒に来てくれない?」



「え、やだ」



「…竜樹さんとハルさんって聞いて、何も気付かない?」



「何か有名人?」



「あんた、転校生か何か?」



「いや、根っからの地元民ですが」




そんな有名人、いたっけ?




「まぁいいや。乗って」



男は私の腕を強引に掴んで車に押し込んだ。




「いやぁぁぁぁ!」




藍川 結衣、16歳。

同じ高校生に誘拐されました。 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る