リカルドはゆっくりと目を開けた。太陽が眩しく輝き、まず気づいたのは自分が道の真ん中に倒れていることだった。少しぼんやりしながら立ち上がる。

「ここはどこだ？」と彼はつぶやき、周囲を見渡した。色彩がより鮮やかで、花は大きく、空気の匂いも異なる。すべてが新しく、不思議だった。

その瞬間、馬車が猛スピードで現れた。リカルドはほとんど反応する間もなかった。「危ない！」と馬車の中の男が叫び、驚いた顔で彼を見ている。「道をどけ、じいさん！」

リカルドはなんとか身を投げ出して馬車をかわした。「待ってくれ！ここがどこかもわからないんだ！」と息を整えながら叫んだ。

馬車の御者は広いつばの帽子をかぶったがっしりした男で、バックミラー越しに彼を見た。「俺の知ったことか！道は寝るところじゃねぇ！」と叫び、馬車はそのまま去っていった。

「寝てた？寝てなんかない、俺は…」リカルドは独り言を言っても仕方がないと気づいた。「誰か、ここで何が起きているのか教えてくれないか？」と言いながら立ち上がる。

辺りを見回すと、色鮮やかな家々や人々で賑わう広場が目に入った。皆忙しそうだが、誰も彼に注意を払っていない。「おい！助けが必要だ！」と叫ぶ。

すると、一人の若い女性が好奇心に満ちた笑顔で近づいてきた。「ここに来たばかり？」と腕を組みながら尋ねた。「迷ってるみたいね。」

「迷ってるどころじゃない。マヤの神によってここに来たんだが、今ここが…どこだって？」リカルドはまだ混乱したまま言った。

「ここはシバルバーよ」と彼女は興味深そうに答えた。「魔法の場所だけど、危険でもあるわ。どうしてこんな年寄りがここにいるの？」

「ただの年寄りじゃない、俺は戦士だ」とリカルドは力強く言った。「悪魔と戦うために来たんだ。」

彼女はクスクスと笑った。「マチェテで？根性はあるわね。でもここでは、それだけじゃ生き残れないわよ。」

「マチェテだけで悪魔に立ち向かうには十分じゃないのか？」とリカルドは、彼女の軽い口調に驚いて尋ねた。「それが足りないとでも？」

「聞いて、ここの悪魔は君が今までに見たこともないものよ」と彼女は真剣な表情で答えた。「悪魔たちはただの話じゃない。本物よ。そして、魔王はとてつもない力を持っているの。」

リカルドは背筋に寒気が走るのを感じた。「魔王？なぜそんな呼び方をするんだ？」

「そのままの存在だから」と彼女は穏やかに言った。「もし本気で戦うつもりなら、仲間が必要よ。一人では無理よ。」

「では、君が助けてくれるのか？」とリカルドは少し自信が戻ったように尋ねた。

「私はルシアよ。ええ、村を案内してあげる。でも覚えておいて、ここでは物事は見た目通りとは限らないわ」とルシアは賑やかな村を案内しながら言った。

歩きながら、リカルドは自分の中で何かが目覚めるのを感じた。それは恐怖だろうか？それとも興奮か？判別はつかなかった。しかし、ひとつだけはっきりしていた—彼の冒険はまだ始まったばかりだということだ。

「ひとつ忠告するわ、リカルド」とルシアは横目で彼を見ながら言った。「魔王に立ち向かうときは、必ず仲間を持っていなさい。一人で戦わないことね。」

「覚えておくよ」とリカルドは答え、この未知の世界が彼に想像以上のものを与えてくれるかもしれないと感じ始めた。

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