第11話 通信手段の確立
今日は朝からウキウキしてスキップでもしたい気分である。
(もちろん恥ずかしいのでやらないが・・)
昨日依頼してた物が届いていたからだ。
早速、工作の時間だ!!。まず、簡易的な信号灯を作るとする。
砦でも荷馬車などを修理する工部に向かう。そこの兵に「使わして貰うぞ」と声をかけ、適当な丸太の切れ端を用意させる。
そこへ俊宇が登場、「浩然様、何をされるのですか?」とお邪魔虫が声をかける。
「秘密の工作だ、黙って見てろ、手を出すな」と牽制しておく。
工作の手順は頭の中に入っているが、追加製作の指示のために製作行程を箇条書きで紙に記載しておく。
その様子を工部の兵が興味津々の様子で覗き込んできた。
〇銅板の左右の端を角棒に沿って少しの幅を曲げておく
〇中央部にタガネで窓を開ける
〇底板の先端に合わせて銅板の左端を打ち付けて固定する
〇灯火器が入る幅と灯芯と炎の高さが合う丸太を入れる
〇銅板を丸太に沿わせるよう被せて木槌で成形する
〇出来たら丸太を抜き、銅板の右端を固定する
〇ギリシア文字のオメガΩのような信号灯もどきが出来た
〇蓋になる板を用意し、灯火器を出し入れしてみて問題無ければ完成
「出来たぞ」と言うと、すかさず俊宇が突っ込む「何ですか?これ?」
面倒なので「後で説明し、実演も行う」と返し、覗き込んでいた兵に「同じ物ものをあと3台作っておいてくれ」と指示し、完成品セットを持って意気揚々と帰る。
「俊宇、楊 憲徳と州軍の士官、副官の洪有徳並びに軍師と禁軍の士官に訓練場に集合をかけてくれ」
訓練場に集合したメンバーに完成した信号灯をお披露目する。
かなり訝し気な面々など気にかけず説明する。
「これは、夜間に通信するための道具である」と宣言し、説明を開始した。
戦場で夜はかなり暗くなるが、夜目が効く兵士は多い。
そこで弱い光でも遠くから識別出来ると考えたと話す。
ここからが、問題なのだが、狼煙では出来なかった情報を送る手立てあることを話した。(前世の海兵が使っているモールス信号を応用してなんて言えないが・・)
今回は、モールス信号表全てを急に暗記するのは無理があり、単純な信号を送る取り決めを披露した。
(しかし、前世でアマチュア無線の免許取得のために覚えていてよかった)
モールス信号は信号の長短により1文字を表すが、光通信では光の点灯と消灯の間隔の調整で再現する。
利点は筒の中に光源があり、指向性があるので敵に探知されず、安全に受信側方向に向けて操作できる。
通信開始は送信側は7つ数える間点灯させ、受信側も光を見つけしだい同じように7つ数える間点灯させ送受信体制を確立する。
なお、通信体制は正副二名の通信兵の構成とする。
操作の方法はメインの通信兵が短音は1つ数える間点灯、長音は3つの間点灯、信号の繋ぎの間隔+は2つ消灯とし、終わりは5つ点灯、その組み合わせの通信を2回行うことにした。
受信側の通信兵はその場で解読出来れば良いが、サブの兵に声で短音は「トン」、長音は「ツー」と伝える。サブの兵はそれを木の枝などを使って地面に線を記録する。 これを後で暗号表と照合して解読する手順とした。
今回は情報の量を限定した。 なお、短音は「・」、長音は「-」と表記する。
敵を知らせるのは て「・・・-・・・」+き「・-・」
方位の東は ひ「--・」+か「・-」+”「・・」+し「・・-・」
方位の西は に「・・・・-・」+し「・・-・」
方位の南は み「・--・」+な「・・・・-」+み「・--・」
方位の北は き「・-・」+た「・・・-」
敵の数20は 2「・・-」+0「-」
などで信号灯の光を木の板で遮りコントロールして信号を作る。
さて、肝心の実演であるが、灯火器に油を入れ、灯芯に火をつけて信号灯の中央に挿入して、皆が見えるように動かして光を確認してもらう。
それで、蓋を適宜開けたり、閉めたりして実際の操作をしてみる。
日中なので十分な視認が出来ないが、皆有用性に納得したようである。
さらに高度なことをするなら、信号表を作成して渡す約束をした。
「さて理解してもらったので、余興として手品をお見せする。火をおこしてくれ」
焚火が燃え盛ってきたので、まず集めて貰った塩を火中に振り入れた炎が黄色になり、次に銅の粉を入れると緑に、骨を入れると橙に、鉄の粉を入れると赤になった。
マジックショーを終えたので「この炎の変化を狼煙に応用する」と皆に伝えた。
「浩然様が全て考えられたのですか! 天才すぎます!!」と褒められた。
(いや、前世の知識の受け売りなのだが・・と照れるが言えない)
「準備が整ったので、明日から作戦行動を開始する」と宣言し、今日を終えた。
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