第3話

*描写あり



あれから俺は後ろを慣らすためにと、社長室の隣の部屋のベッドにバイブを挿入れられ、猿轡をされたまま、放置されていた。


「もう少し静かにしたらどうだ」

「んぐぅぅぅっ!」


部屋に入ってきた早乙女を睨むが、それはどうやら逆効果だったらしい。


「そんな顔で俺を睨んでも無意味だぞ」


早乙女の手が、俺の尻に入っているバイブを乱暴に抜き差しする。

それは俺の前立腺を執拗に狙い撃ちしてくる。


「ふぅぅぅっ!んぐ~~ッ!ふ~~~ッ!!」

(やばいやばいっ!そこは、だめだって!!)


またイく。

もう何度イったかわからない。

俺は早乙女が戻ってくるまで、魚が跳ねるように、体をビクビクと震わせてイくことしかできなかった。


「ふゥーーッ、っあ、あぁぁぁっ、あ゛あ゛あ゛ッ!!」


ようやく猿轡を取ってもらえた。

やっとまともに息ができる、と思い一安心していた俺に、早乙女は容赦なく、尻にちんこを入れてきた。


「ッ、キツい、もう少し緩めろ」

「や、ぁっ、むり、むりむりっ、なんで…なんでぇっ、なんで俺、ばっかり……ひっく」

「おい……」

「なんでだょぉっ、俺だって、ふ、普通に…生きたいだけ、なのにぃっ!うぇぇぇぇんっ!」

「………」


俺は気づけば子供のように泣きわめいていた。

こんなに泣いたのはいつ以来だろうか、思い出せない。

そうやって泣き続ける俺を早乙女が抱きしめる。


「玲二」

「俺だって、他の人みたいに、ひっ、家族で出かけたり、ううっ、彼女作ったりしたかったのに」

「………」

「なんで、なんでいっつもおればっかり……今日だって、なんで、なんでだよぉ!なんか、恨みでもあんのかよぉっ!!うわぁぁぁぁぁんっ!」


俺はちんこを入れられたまま泣き続けるという、訳の分からない状況になっていた。


「……玲二、泣いているところ悪いんだが…」

「ひっく、うるせぇ…泣かせろ……っあ!?」

「生殺しすぎる」


俺が泣いているというのに、この男は俺を犯してきた。


「あ、あんっ、あぁぁっ、やぁっ、そこ、突かないでっ」

「はっ、気持ちいい癖に。嫌じゃなくて、イイ、の間違い、だろ」

「そんな、ことなぃぃっ!」


そんなことある。

今までヤられてきたセックスの中で、一番優しいセックスだった。

だって、俺が泣いてる間待ってたんだぞ?意味が分からない。

そんなことされたら、勘違いしてしまいそうになる。

ヤるなら、とことんヤってくれ。

俺を壊して、意識なんて無くすくらいに。


「ほら、ここ突くと」

「ひゃあんっ!」

「尻も締まるし、ここから先走りが溢れてくる」

「触るなぁっ!ふぁぁぁっ、あ、やだ、またイっちゃ…」

「淫乱」


耳元でそう呟かれて。


「ひぅぅぅっ!」


俺はまた呆気なくイった。


「締めるなっ…」

「だって無理、むりっきもちいからぁっ」

「~~~ッ、煽りやがって、っく」

「あ、ぁぁぁっ」


ゴム越しでもわかる。

あついものが、おれのなかを。


「あぁぁっ」

(セックスって、こんなに気持ちよかったっけ……?)


俺は早乙女に身を預けて、少し目を閉じた。



***



「大丈夫か?」

「そう見えるなら一回眼科受診することを勧めるよ」

「生憎視力はいいんだ」

「そりゃヤブ医者だね」


なんて冗談を言えるほど声だけは元気だが、如何せん久しぶりにセックスなんてしたもんだから、腰が痛くて痛くて仕方ない。


「あのさ」

「何だ」

「俺、これから早乙女さんと毎日セックスする感じなの?」


そうならそうで、あの時みたいに心さえ無くしてしまえばいいだけだ。

相手に媚びへつらって、体を順応させればいいだけだし。


「さぁ、気分によるな」

「そうなの?じゃあなんで俺を……」

「玲二が知る必要はない」


必要ないって、何だよ。

俺は今、何か生きる意味を見つけなきゃならないのに。

真希を探すことも、仕事らしい仕事も出来ないっぽいし、早乙女に縛られて生きていくなんて。

なんてつまらない人生。

まぁ、楽しかった事なんて数える方が大変だけど。


「………そっか、わかった…」

「一つ、確認したいことがある」

「なに」


明らかに不貞腐れているであろう俺に、まだ何か言うつもりらしい。


「お前の、玲二の父親は―――」

「悪いけど、答えたくもない」


あんなのの話を自分の口から言いたくない。

時間も声も空気すらも勿体ない位のクズの話なんて、誰が得するんだ。


「……わかった。後は俺の仕事が終わるまでこの部屋でゆっくり過ごしていてくれ」


そう言って早乙女は俺を一人この部屋に残して社長室へ消えていった。


「何なんだよ……」


何で、早乙女がいきなり俺の親父の話をし始めたんだ。

まさか所長が話したのか?いや、あの人はそういう話に関しては口が堅いはずだから。

まさか早乙女が俺の事を調べたとか…いや、まさか。


「まさかな」


俺はやることもなく、そのままベッドで眠りについた。

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