第6話
「だって、実際藍ちゃん可愛いもん!」
碓氷愛奈が笑いながら言った。
「うちのマネージャーの進藤なんかもうキュンキュンしっぱなしだもん!」
「可愛いだけじゃなくて敏腕だからな。こうしてお前と逢える」
翔真はソファーの上で、愛奈に伸し掛かって来た。
「ダメよ」
その唇が奪われていた。
「藍の話は終わりだ。俺達の話をしよう…… 」
そこへお腹の鳴る音が割って入った。
「お前、ムードなさすぎ!」
翔真は起き上がると笑い出した。
翔真の部屋は1LDKの間取りだ。
全体的にシャープな感じで、ソファーも家具類も全て黒で纏めている。カーテンではなくブラインドだ。
「台所借りるよ」
愛奈はキッチンに行くとシルバーの冷蔵庫を開けた。
「翔ちゃんも食べるでしょ。うどん」
「卵入れて」
「分かった」
碓氷愛奈は翔真と同じ16歳である。
中学3年の春休み、友人と渋谷へ遊びに来ていた所スカウトされた。
愛奈は島根の出身である。
高校も島根の高校に受かっていたが、芸能界入りするため、東京の森越学園高校に行く事にしたのである。
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