第25話
新春も選手達に休みはない。
だから寮でお雑煮と陸上部員達で分け合えるようにおせちが振舞われた。
これも陸上部の伝統である。
朝食を食べたら元旦から練習である。
いよいよ明日、箱根駅伝が始まる。
歩希は準備万端で3日を待っていた。
往路では明和大学は10位である。シード権が狙える位置にあった。
だがギリギリなので、もう1人も抜かれるわけには行かなかった。
歩希は旅館で監督に呼び出された。
「宮本、済まないが外れてもらう。この数日、友野が絶好調だから友野に入ってもらうから」
えっ?
歩希は思わず目の前が真っ暗になった。
「給水係を頼む」
「監督、何故ですか⁈」
歩希の声が震えている。
必死に涙を堪えていた。
「この数日、お前より友野の方がコンディションが良い。それだけだ」
監督が立ち去った後、歩希は外に飛び出した。
「わああっ!」
歩希は耐えられなくなって声を上げて泣いた。
悔しくて唇を噛み締めている。
何故?一体何故?
昨年明和大学は途中で襷を繋ぐ事は出来なかった。
その悔しさが全員を強くした。
その証拠に今年はシード権獲得の所まで来ている。
その大事な試合に出られないなんて!
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