第30話

「4回転ループか。やるって言えばやってしまうんだものな」

休憩室でスポーツドリンクを飲んでいると上田知哉がやって来た。

知哉は6歳からスケートをしている凪の親友であり、ライバルだ。

去年の全日本ジュニア選手権では精彩を欠き8位と出遅れてしまい、全日本選手権には行けなかった。それだけに今年は必ず全日本選手権に行くと闘志を燃やしている。

「お前だって密かに4回転サルコウやってるだろう?」

「俺はコーチに言われたんだ。まずは確実性を高めろって。挑戦はその後だって」

「今年こそは絶対に一緒に全日本に行こうぜ。お前にはその実力があるんだからさ」

「ああ、もちろんだよ。凪。お前が世界ジュニア優勝した事で俺も負けていられないって思ったからさ」

凪は知哉の肩を叩いた。

スポーツドリンクを飲みながら笑顔になる。

知哉も明るい笑顔を見せた。

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