第28話
「奥沢君。私、奥沢君の事ずっと見てたの。奥沢君が好き。だから私と付き合って」
屋上に呼び出されて、女の子に告白されても凪はサラリと言った。
「ゴメンね。スケートの練習が忙しくてデートしている時間がないんだ」
「日曜日とかは?」
「練習」
「土曜日の午後も?」
「そう。だからゴメンね」
「そんなにスケートばっかりやっててつまらなくない?もっと楽しもうよ」
女の子が言った言葉を聞いて凪はキョトンとしている。
「楽しんでるけど?俺、スケートが楽しくて仕方ないんだ」
「…… 」
女の子は次の言葉が出て来ない。
「じゃあ、そう言う事だから」
教室に帰って来た凪を、友人の峰岸が待っていた。
「凪、また断ったの?さっきの石黒さおりって結構人気高いのに」
「あ、そう?」
凪は全く興味ない様子だ。
「お前ってスケートしてる子じゃないとダメなのか?」
「そーかもなあ」
「凪にそれ言ってもダメだよ。スケートに恋してるんだから」
「やっぱ古賀ちゃん、分かってる!」
凪は古賀に抱きついた。
「あー分かった分かった」
古賀は苦笑いになると、凪の頭をポンポンと2度叩いた。
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