もしも好きと言えたなら
水島あおい
第1章 初恋
第1話
氷の上にいるのは好きだ。
心が静かになり、凛と引き締まる。
奥沢凪はスケートリンクに立っていた。
リンク内を大きく滑り、氷の感触を確かめる。
悪くない。
凪はそのまま助走をつけて得意なルッツジャンプを跳んだ。
奥沢凪は14歳。
中学2年生である。
5歳の時からフィギュアスケートを始め、もう
9年になる。
凪はジャンプの後、視線を固定させた。
凪の視線の先にいるのは、姉の陽乃である。
凪より2歳年上だ。
陽乃は長いポニーテールを揺らしながら脇目も振らずにステップの練習をしていた。
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