救いの巫女は3人の王子に囚われる
星野銀貨(銀色の花)
第1話 ある日突然、お姫様になった私
「はじめまして、可愛い私の妹」
豪奢な馬車から降り立ったのは、美しい銀髪の優雅な物腰の男性だった。
この国の第一王子である、彼ーーアインスは、彫刻のように端正に整った顔に優しい笑みを浮かべて私の手を取った。
本来なら、ただの孤児院出身の修道女である私が会うことなど、一生叶わないような相手である。
ことの始まりは、私の母の形見のイヤリングだった。
肌身離さずつけていたそれを、孤児院に慰問に訪れていた学者の先生が見て、こう言ったのだ。
ーーこれは、救いの巫女の一族のものだ、と。
救いの巫女。
この国の建国にも関わったとされる、不思議な力を持った聖女。
その一族も不思議な力を受け継ぎ、その力は王族を繁栄させ、助けたのだという。
しかしその一族は、二十年ほど前に何者かに襲撃され、滅ぼされたと聞いている。
私の母の唯一の形見。
代々母から子へ受け継いできたのだというイヤリングが、救いの巫女の一族のものだなんてーー……。
救いの巫女の一族の生き残りを保護するため、国王は私を養女に迎えることを通達してきた。
こうして、私はある日突然王女となったのである。
ーーー
この国の王には三人の王子がいる。
第一王子のアインス様。
第二王子のツヴァサ様。
第三王子のドライオ様。
王妃様は去年亡くなられたので、私には新しい父と、二人の兄と一人の弟ができることになった。
「さあ、着いたよ。疲れていないかな?」
アインス様にエスコートされて、煌びやかなお城へ入る。
生まれて初めて見るお城はとても綺麗で、輝いていてーー私は今日からこんな美しい場所で新しい家族と暮らすのかと、胸が激しく高鳴った。
「君が我の新しい娘か。まさか救いの巫女の一族が生きていたとはーー嬉しい限りだよ」
王様は威厳溢れる精悍な顔立ちの方で、低い声に優しさを滲ませて私を歓迎してくれた。
「ーー孤児院の女なんか養女にして大丈夫かよ?」
第二王子のツヴァサ様はワイルドな黒髪をした、強気な表情の逞しい身体つきの方で、私はあまり歓迎されていないようだった。
「俺様が直々に色々教えてやらないとなぁ? ありがたく思えよ、妹ォ」
「……兄さんは、ほんっと素直じゃないんだから……。はじめまして姉様。ボクのことはイオでいいよ」
第三王子のドライオ様が長い銀髪から繊細な美貌を覗かせる。
王妃様が鬼人の血を引いていたらしく、先祖返りしたらしいドライオ様は、人間離れした美しさと透き通ったツノを持っている。
「こらこら。私たちの妹姫が驚いているだろう」
ずっとそばに付いていて下さったアインス様が、私の肩を抱き寄せる。
夢に描いていた王子様のような、優雅で穏やかな物腰に、端正な顔立ち。
思わず私の頬が熱くなる。
「今日から私たちはずっと一緒だよ、姫。最後で始まりの救いの巫女として、私たちの助けとなってくれるかな?」
「も、もちろんです! ……アインス様」
「アインスお兄様、だろう? 家族に敬語も無しだ」
無意識に、私は耳を飾る救いの巫女の一族の象徴ーー薔薇色の石の揺れるイヤリングに触れた。
一瞬、石がかぁっと熱くなり、お兄様たちの目がじっとりと昏く光った気がしたーー……。
♡♡♡
KindleやDLsiteに長編バージョンは置いてあるのですが、短編でえちえちシーン詰めバージョンも書いてみることにしました。
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