第11話

「おいっ倉井! 一緒に帰ろうぜ。」




「うん。」




もう何回行われたことか分からない、このやり取り。


一緒に帰っているからと言って、彼氏だとか幼馴染みだとか。


…そんなことでは決してなくて。



"ただの友達として"、一緒に帰っている。


そう思ってるのは、…三河だけだけれども。


そう。早い話、私が彼に片想いしているのだ。


一方、相手はというと、私のことを女として見ていないけれど。




「三河、今日は早かったね。」



部活あったんじゃないの?


言外にそう含ませて聞いた。




「雨降ってんだろ?


筋トレだけで早く終わったんだよ。」




「うそっ!雨降ってんの!?」



そう言われて慌てて外を確認してみると、確かに雨が降っていて。


…天気予報の嘘つきっ


傘持ってないし!




私が明らかに顔を顰めたのに気が付いた三河は、私に尋ねる。


「俺の傘に入るか?」




「…っ!け、けっこうですっ」



恥ずかしくて、三河の申し出を断って外に出た。

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